新型コロナウイルス対策により百貨店や商業施設などが営業縮小を迫られる中、ポーラが3月2日に発売した日中用クリーム「B.A ライト セレクター」(45g、1万1000円)が好調だ。SPF50+・PA++++の機能を持つ同製品は紫外線・近赤外線から肌を守るほか、太陽光の中でも肌によい影響を与える“赤色光”のみを取り入れて“太陽光でエイジングケアを行う”というアプローチが特徴。2月の予約開始時から申し込みが殺到していたこともあり発売3日で2万本を売り上げたが、2週間が経った現在も売れ行きは衰えていないという。
新型コロナの影響で百貨店は軒並み売り上げを落としており、大手百貨店3社が16日に発表した3月前半の売上高は、前年同期比で3~4割減となった。ポーラも全国に67の百貨店カウンターを展開しているが、そんな中でも新製品が売れた理由は約4200店ある“街のポーラショップ”と、約4.1万人のビューティー ディレクター(以下、BD)と顧客のつながりだ。
ポーラは1929年の創業時から訪問販売を軸としており、売り上げの80%以上を訪販事業が占めている。現在では店舗形態も増え、従来型の訪問販売を行う全国の約500拠点のほか、ショップオーナーが自ら出資してエステサービスを行う「エステイン」約2100店、本社が出資してエステから販売までのトータルサービスを行う「ポーラ ザ ビューティー」約670店を展開。郊外の駅前や住宅街にポーラの看板が出ていることも珍しくない。
「正直なところ、(新型コロナが広がる)真っただ中で発売したため心配もあったが、お客さまにご期待いただき、日々話題となっていることは大変光栄で嬉しく思う」とポーラ担当者。訪販ならではだが、店舗形態であるショップも外出が不安な顧客にはBDが自宅まで届けることもあるほか、顧客からは「こんな時だからこそ人とつながりたい。話しがしたかった」という声も聞かれるという。利便性ではECが勝るものの、地域に根付いたショップは日常の買い物のついでに訪れられることもあり、“不要不急の外出を控える”ことが推奨される中で力を発揮しているようだ。