新型コロナウイルス感染拡大の影響で「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」が中止となり、参加予定だったブランドはさまざまな形式でコレクションを発表している。芦田多恵による「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」も、毎シーズン3回に分けて1500人以上のゲストを動員する大規模なショーを開いているが、今季は中止を余儀なくされた。しかしすぐに切り替えて、ショー予定日だった3月18日に2020-21年秋冬のイメージビジュアルを、3月末にはウィメンズとメンズを合わせたルックブックを公開した。さらに5月には動画をブランド公式ページで披露し、同月中に関係者向けの展示会と顧客向けの受注会の開催を予定している。
この機会をチャンスと捉えて
今までできなかった表現に挑戦
同社の「ジュン アシダ(JUN ASHIDA)」と「ミス アシダ(MISS ASHIDA)」は、東日本大震災の影響で11年3月の東京ファッション・ウイークが中止されたため、同シーズンのコレクションを無観客ショーでウェブ配信した経験がある。今回の判断は「3.11の経験が生きている。来場者や関係者の安全性を第一に考えて、今回は2月中旬の早い段階でショーの開催中止を決めた」という芦田多恵デザイナー。「9年前はインターネットでのショー配信がまだ一般的ではなく、余震が続く不安な時期の中、それでも多くの方に届けたいという思いでバーチャルショーの発表を選んだ。今回はこの機会をチャンスと捉えて今までできなかった映像作品に挑戦し、ブランドの表現の方法を進化させたかった」と明かした。
ロック音楽を聴きながら制作
3シーズン目のメンズも
芦田デザイナーがロック音楽を聴きながら制作したという今季のコレクションテーマは「二重振幅(Double Amplitude)」。デジタルアートや幾何学柄を合わせたジャカードや、スタッズ付きのツイードコートなど、異なる色や素材を掛け合わせで新しさを追求した。デニムとボアのボンディング素材を使ったライダースジャケットは、ロックの要素と相反する2面性を表現。3シーズン目になったメンズコレクションは、今季もウィメンズと共有素材を用いて12ルックを用意している。「メンズはウィメンズとは異なる感覚で楽しくデザインしている。店頭では顧客のご子息を中心に動いており、昨年の紅白ではメンズの衣装をMattさんと清塚信也さんに着用いただくなど、メディアでも好評をいただいた。今後も焦らずゆっくりと育てていきたい」と語る。