フランス政府が医療従事者へのマスク供給に尽力していることを受けて、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)は自社のグローバル流通ネットワークを駆使して中国から1000万枚のマスクを調達し、近くフランス政府に提供する。なお、今後少なくとも4週間はマスクの発注を毎週行い、計4000万枚を確保するとしている。
LVMHは21日、「(会長兼最高経営責任者の)ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)は、非常に緊迫した状況下でのマスクの確保、および早急な生産のため、最初の供給には500万ユーロ(約5億9000万円)の資金を投入した」と発表している。
なお、LVMHは「ディオール(DIOR)」や「ゲラン(GUERLAIN)」「ジバンシイ(GIVENCHY)」などの香水やコスメティックブランドの生産拠点でハンドサニタイザーを生産して無償提供することも発表している。
ケリング(KERING)も中国から輸入した医療用マスク300万枚をフランスの医療機関に提供する。同社は3月22日、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」と「サンローラン(SAINT LAURENT)」のフランスチームが従業員の健康対策に万全を期した上でマスクの製造準備を進めていることも明らかにした。関連当局から製造過程や原材料についての認証を得られ次第生産を開始する。
さらに、ケリング傘下の「グッチ(GUCCI)」は伊トスカーナ州の地域当局の要請を受けて、100万枚超の医療用マスクと5万5000着の医療用白衣を寄付するとしている。
ケリングは同感染症関連の研究支援を目的として、仏パリで科学・医学・公衆衛生分野の研究を行う非営利民間研究機関、パスツール研究所(Institut Pasteur)への資金援助も実施した。同社は3月初めにもイタリアの医療機関や、同感染症対策に携わる機関への支援として寄付を行っており、1月末には中国湖北省の赤十字基金会(Red Cross Foundation)に対しても寄付をしている。
また、スペインでは「ザラ(ZARA)」を傘下に持つインディテックス(INDITEX)が医療用防護服の生産に向けて製造ラインの変更に着手しており、スペイン政府に供給するマスクを中国から調達するべく自社製品の供給ネットワークを活用している。