2020年春夏シーズンは、お嬢様テイストの“フレンチシック”がトレンドに返り咲いています。一方、1970年代を思わせるデニムルックも復活。両者をミックスしたコーディネートも打ち出されています。名付けて“お嬢様ヒッピー”。「セリーヌ(CELINE)」は2020年春夏コレクションで、愛らしいブラウスに、裾が長めのブーツカットジーンズを組み合わせました。ウエストはきっちりベルトでマークし、ロマンティックと1970年代ムードを交差。今回はこうした“フレンチシック×70年代”風のストリートスナップを参考に、定番のデニムスタイルを今シーズン流に仕上げるコツをご紹介します。
◆肩掛けニットを
差し色アクセントに
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フレンチシックな気分でデニムパンツを着こなすには、きちんと感を帯びた羽織り物とのミックスが効果的です。ダメージドデニムにテーラードジャケットという、テイストずらしのお手本的なコーデ。写真1枚目は、ジャケットの上からオレンジのニットプルオーバーをストールのように肩掛け。トップスの裾をしっかりウエストインするのも、ルーズに見せないポイントです。
写真2枚目は、パンツ裾をずるっと長くたるませて、イージーな見え具合に。70年代ヒッピー感が漂う着こなしです。さらに花柄のボウタイ・ブラウスは上品なムード。リボンはゆるく垂らして、ブルーのニットを斜めに肩掛けしてエフォートレスに。あえて正面からずらしてイレギュラーな印象を添えました。型にはまらない雰囲気を醸し出す小技のコンボが利いています。
◆シアー素材シャツで
透明感と涼やかさ
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白地のシャツで合わせれば、デニムパンツがぐっとフレンチシック寄りに決まります。素肌がうっすらと透けるシアー素材のシャツを選んで、春夏らしい透明感を演出。白インナーとの重ね着で正面のボタンを深く開けられるのは、涼やかに見せる小技。デニムパンツの裾を深めに折り返して、ボーイッシュな足元でハズして。
同じシアー素材の白地シャツでも、着丈の長いシャツワンピースなら、優美な印象が加わります。花柄は70年代のフラワーチルドレンに通じるので、ノスタルジックな雰囲気も呼び込めそう。裾は正面だけウエストインして、残りは風に遊ばせるのが賢いアレンジ。シャツワンピの着丈が長い分、パンツはクロップド丈で合わせて。レディーライクな靴でフレンチシック感も添えています。
◆上品な腹見せで
フレッシュな着映え
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写真1枚目のコルセット風のジャケットは、装いに組み込むだけで、フレンチシックな着姿に仕上げやすい“即効ツール”です。クラシックなテイストが戻ってきている今のトレンドでも、キーピースに位置づけられています。古風な貴婦人ムードを帯びていますが、デニムパンツを引き合わせれば、現代モードにシフト。ストリート風に映りがちなお腹見せも、ジャケットの正統派感のおかげで、上品な見え具合になります。パンツ裾はブーツインして、クールにまとめました。
写真2枚目のような、袖先に向かって急に細くなる“ジゴ袖”は、クラシック感の高いディテールです。濃いめのピンクで染め上げたブラウスは、程よくポップでガーリー。お腹見せもヘルシーさを印象づけます。色落ちウオッシュを利かせたダメージドデニムパンツも、発色のよい古典的ブラウスとのマリアージュだから、ストリート感が薄まりました。リッチテイストの肩掛けバッグも装いの格上げに一役買っています。
70年代風のデニムパンツをレディーライクに見せるうえで、フレンチシックとの掛け合わせはメリットがいっぱい。今春夏の2大トレンドをいいとこ取りできるスタイリングあので、手持ちのデニムパンツに、新たな表情を与えるのに役立ててみませんか。新型コロナウイルスの話題で世界中が暗いムードの今こそ、装いによって、自分や周りに明るい気分を呼び込んでみて!
ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い