資生堂の再生医療開発室(細胞培養加工等担当)は現在、東京医科大学と東邦大学医療センター大橋病院と共同で、自家毛髪培養細胞を用いた薄毛・脱毛の細胞治療を確立するための研究を進めており、脱毛症や薄毛に悩む人を対象に医師主導の臨床研究を行った。
その結果、自家毛髪培養細胞を用いた細胞治療法に安全性と改善効果が認められ、男女の壮年性脱毛症の新しい治療法になり得ることを確認した。
同意を得た被験者の後頭部から少量の皮膚組織(直径数mm)を採取して、細胞加工施設(資生堂細胞培養加工センター)に輸送し、毛包DSC組織を培養するなどしてS-DSCTM(毛球部毛根鞘細胞加工物。東京医科大学、東邦大学が資生堂と共同開発した細胞加工物および医療施術)を獲得した。男女の被験者に対して、脱毛部頭皮にDSC細胞またはDSC細胞を含まないプラセボ(偽薬)懸濁液を1回注射し、12カ月後まで総毛髪密度などを測定した。
結果、DSC細胞を注射した部位の総毛髪密度と積算毛髪径は、6〜9カ月後にプラセボと比較して有意に増加した。この結果を受け、資生堂は「今後さらに実用化を目指した臨床試験を計画し、十分な安全性、有効性が確認された場合、実用化に向けた検討を行っていく(実用化の時期は未定)」とコメントしている。