伊勢丹新宿本店は25日、本館2階婦人服売り場に、主にミレニアル世代をターゲットとしたポップアップスペース「イセタン ザ・スペース」を設置した。ファッションや雑貨などの物販のみならず、体験型のワークショップなど多目的で活用。デジタル発信にも注力して20~30代の若い世代を集客し、フロアの買い回りにつなげる。
設置場所は2階下りエスカレーター脇、化粧品販売エリアのすぐそば。面積は同館のポップアップスペースと比較しても最大で、コンセプトとして、3つの“レス”(タイムレス・ジェンダーレス・カテゴリーレス)を掲げる。先行品や限定品の販売、体験イベントなど「ここでしか手に入らない・できない」付加価値で訴求。企画を1週間~1カ月スパンで入れ替えることで、常に話題性のある売り場を作る。
「変化が激しい消費者の興味関心に対応するには、同じく『常に』『ガラッと』変わり続ける場が必要だと考えた」と担当する宍戸賢太郎・伊勢丹新宿店MD統括部クロスMD営業部長。「新しいモノ・コトを求めるのであれば、「まずはここ(イセタン ザ・スペース)に行ってみようと思ってもらえるようなランドマークを作りたい」。
オープンから4月19日までは、「ハロー トーキョー」と銘打ち、パリのセレクトショップ「コレット(COLETTE)」元ディレクターのサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)が手掛ける「ジャスト アン アイデア(JUST AN IDEA)」と、仏デザイナーのミラ・ミカティ(Mira Mikati)のコラボアイテムを販売する。カラフルな刺しゅうを施したTシャツドレス(3万9600円)やフーディ(6万500円)などアパレルのほか、スマートフォンケース(8470円)やぬいぐるみなどの雑貨、コスメなどを販売する。
伊勢丹新宿本店は19年3月から第二期リニューアルに着手し、本館2階では、これまで主にF1層(20~34歳の女性)の取り込みを主眼に置いた改装を実施してきた。「イセタン ザ・スペース」の設置はその集大成となる。一連の改装により、フロア全体の常設ブランドの売り場を約3割減とする一方、客の購買体験向上を目的に、その分をイベントやおもてなしのスペースに割いた。
テコ入れの成果として、フロア中央の自主編集売り場「リ・スタイル トーキョー」は、人気クリエーターにフォーカスするポップアップスペースの設置(19年12月)以降、客数が前年比20%増、客単価は同5%増で進捗している。大人の女性向けに都会的なスタイルを提案する「アーバンクローゼット」エリアでは、ブランドごとの垣根を取り払い、ソファを設置するなどして、「客の滞留時間を長くする工夫が実っている」という。