ここにきて店舗減少が進み、気軽に買い物する機会が減ってきている消費者にとって、ECは有益な販売チャネルだ。化粧品は他ジャンルと比較し市場規模が小さく、経済産業省が昨年4月に発表した2018年の化粧品・医薬品EC市場規模は6136億円(前年比7.21%増・EC化率5.8%)。衣類・服飾雑貨の1兆7728億円(同6.74%増・EC化率12.96%)と比較すると倍以上の開きがあるため、日本の化粧品ECは伸びしろのあるジャンルといわれている。その中でも近年注目を集めているのが、メーカーが直接消費者に販売するDtoC(Direct to Consumer)だ。「2025年、人は『買い物』をしなくなる」の著者であるEC専門家の望月智之いつも.副社長に、DtoC成功のコツについて話を聞いた。
「メーカーのEC進出相談は、19年からかなり増えている。特にDtoCは会社の上層部にまで浸透し、それをどう活用するかという流れがある」と望月副社長。ECで売れている製品は実店舗と異なる点も特徴だ。「実店舗で売れている製品は、基本的にはCMを多く打っているような認知度が高い大手メーカーのものが多い。しかし楽天市場やアマゾン(AMAZON)で、ある月の売り上げTOP30を抜き出してみたところ、実店舗でも売れているアイテムは2製品しかなかった。また、実店舗の売れ筋は価格帯が安く、シャンプーだと400円程度だが、楽天市場だと2000円程度。良い製品をそれなりの価格帯で売りたいと思うならば、ECから始めるのは今の時代に合っている」(望月副社長)。
しかし、自社サイトで販売を始めるのは人が通らない道に店を構えるようなもので、それなりにアクセスがあるサイトでないと消費者の目には止まらない。そこで望月副社長が推奨するのが、楽天市場やアマゾンなどのECモール内で上位に掲出される“デジタル棚”という発想だ。「実店舗の棚と同様に、デジタル画面の上位のスペースを押さえることは非常に重要。製品カテゴリーを検索したときにすぐに目に入り、ランキングに掲載され常によいスペースを確保することで、消費者は視覚から製品を認知していく。この場所を押さえることは広告を打つことより重要だが、さまざまなノウハウが必要になる」。
望月副社長が“デジタル棚”成功事例として挙げるのが、ボタニカルライフスタイルブランドの「ボタニスト(BOTANIST)」だ。ECモールで2015年に発売を開始した同ブランドは独自の世界観とスタイリッシュなデザインが支持を集め、楽天市場のランキングで1位を獲得。昨今はドラッグストアなどの小売店でも取り扱われているほか直営店も展開しており、現在の売り上げは100億円を突破している。「WWDビューティ」3月26日号付録では、「ボタニスト」ヒットの立役者である伊藤翔哉I-NE取締役/販売本部本部長代理と、望月副社長が対談を実施。戦略的にECモールからスタートさせた「ボタニスト」の売り方のほか、DtoCで成功を収めるための手法、人材について語り合っている。
いつも.
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