※この記事は2019年9月13日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
NYコレのマスト、堪能しました
以前このお手紙「NYコレクションのマスト」の中で、出張した時は必ずブロードウェイのミュージカルを見て帰ることについてお話ししました。鑑賞作品を決めるのは、いつもギリギリ。NYコレクションの取材を通して「顕在化してきた」と感じる価値観について、ショービズの世界は、それをどう表現しているのか知りたいからです。
今回は、「オクラホマ!(Oklahoma!)」という作品をチョイスしました。予約したのは、開演2時間前。NYコレクションの最終日「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」の帰り道です。「オクラホマ!」についてマイケルは、前日の記者会見の中で「春に鑑賞して」と話しました。で翌日ショーを見て、感動した僕は、「絶対見に行く!」と即時ブッキングしたのです。
以下はネタバレになりますが、「オクラホマ!」は、6度目のリバイバル作品です。ところが今回の「オクラホマ!」は、初演と同じ脚本で、歌詞にいたっては全く変えていないにも関わらず、それを痛烈に批判しています。調べるとオクラホマ州が1900年代初頭にアメリカ46番目の州として誕生した話を描いた「オクラホマ!」は、例えば独立に際してインディアンを追い出したり、苛烈な黒人差別を続けたりといろんな問題があったにも関わらず、それを全部“置いといて”「独立おめでと〜」と大団円で終わった作品のようです。それを今回は、当時の脚本・歌詞のまま全然喜べないエンディングに導きます。それにより、さまざまな問題を“置いといて”大団円してしまった当時の作品を皮肉ったのです。当時の“愛国”を批判したのです。
そんな「オクラホマ!」を見た、と記者会見で話したマイケルは、その会見を「これまでで一番、愛国心にあふれるコレクションだ」と2020年春夏コレクションを総括することで締めくくりました。彼の「愛国」と、最新版「オクラホマ!」が皮肉った初演「オクラホマ!」の“愛国”は、非なるものであることは明白です。2つはどう違うのか?マイケルの言う「愛国」とはなにか?それを考えたかったのです。
初演「オクラホマ!」の“愛国”、転じてドナルド・トランプ(Donald Trump)の“愛国”とマイケルの「愛国」については、もう少しだけ考えて記事にしようと思います。
ちなみに最新版「オクラホマ!」、主人公が強烈な南部訛りな上、マイクなしの肉声による上演で、かなりの英語力がないと理解できません。名作と太鼓判を押しますが、事前にあらすじを調べていくことをオススメします。
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