※この記事は2019年9月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
ワタシイマ、ナニヤッテルンダッケ?
「ミラノって、こんなにインフルエンサー、多かったっけ⁉︎」ーー。コレがミラノ・コレクション取材初日の率直な感想です。
まず最初に見たロンドンからの「ピーター ピロット(PETER PILOTTO)」に集ったゲストのド派手な衣装に驚きました(「お前が言うな!」と返されてしまいそうですがw)。そして初日のハイライト「プラダ(PRADA)」のショーには、男性インフルエンサーも何人かやってきて、もう一回驚きました。
と言ってもウィメンズは、多分5、6年ぶりのミラノ・コレクション取材。当時と景色が違うのは、当たり前ですね。
ニューヨークでは、率直にインフルエンサーに対する「悩み」の声を聞きました。正直、効果はない(この場合、何を「効果」と定義するのか?も難しい問題です)、費用はかかる、そして、疲弊する。コレが、日本のPR・マーケティング陣が向き合う、今のインフルエンサー施策だと思います。もはや彼ら・彼女たちの写真が出回ったところで実売には結びつかないのに、費用は案外、正直メディアへの出稿同様にかさむ。そして徹頭徹尾のケアが必要だから疲れる。「ワタシイマ、ナニヤッテルンダッケ?」、そんな風に思うときもあるそうです。
とは言えこの施策、既存メディアの勢いが陰る中で欠かせないのは事実なワケで、しかも海外では一定の効果を持っている。ゆえに本国に「もう、インフルエンサー施策やりたくないよ」と言っても、「ダメだよ。人選から考え直したら?」と突き返されてしまう。そんな声も聞こえます。難しい問題です。
さぁ、どうしたら良いですかね?いくつかアドバイスできるしたら、まずは「そろそろフォロワー数にとらわれるのは、おやめになったらいかがでしょう?」です。今この地にいるインフルエンサーにも、フォロワーを買ってる人、います。そして「そのイメージ、本当に発信したい?マジで?」も考えるべきです。「インフルエンサー施策をやらなくちゃ」という前提がなかったら、それは発信したいブランドの姿ですか?冷静に考えるべきでしょう。そして最後に、「パパラッチに撮られるだけのインフルエンサー、もうやめたら?」とも思います。そもそも今のインスタグラムは、体験をシェアする情報ツール。体験を写真やキャプションで表現し、ハッシュタグで拡散できないインフルエンサーを呼んで、パパラッチ頼みの博打に出るのは、いかがなものでしょうか?マーケティング施策を、自分の意思でコントロールできない博打を基に組み立てるなんて、僕には怖くてできません(笑)。
派手な洋服を着た人たちの撮影合戦は、もはやランウエイショーを見ることさえ目的でなくなっているように映りました。もちろん、意味あるインフルエンサーだって大勢いますよ。
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