※この記事は2019年9月30日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
ダダ漏れる感情とセットのスマホ解禁を願う
“ダダ漏れ”る人の感情って、やっぱり面白いな、と思います。ニューヨーク・コレクションの「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」のランウエイショーでは、女優でモデルの山田優ちゃんがお隣でした。彼女は終始ニコニコ笑顔で、お婆ちゃんモデルが登場すれば「あんな風に年を重ねた~い」、双子モデルがレトロ&キッチュなニットドレスで登場すれば「カワイイ!」を4回くらい呟きながらスマホでパシャパシャ。感情がダダ漏れで、「なるほど、女子はそこに反応するワケか」と納得したり、「あ、その共感ポイントは一緒だよ‼︎」とケミストリー的なものを勝手に感じたり、ショー自体も楽しくなるし、追って記事を書くに際しても少なからず参考にさせていただきました。
「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のショーには、けみおが来場。コレクションピースを堂々と着こなす彼の撮影大会が始まったのは当然ですが、「写真、一緒にいいですか(照)?」という女性編集者が多いのには驚きました。「けみお、案外オネーサマの懐に入り込んでいる!」。ファッションメディア界におけるユーチューバーの浸透具合もうかがい知ることができます。
反対にとあるショーでは、お隣さん、ず~っとLINEしています。なにか、揉めているのでしょうか?眉間にシワ寄せながら、会話のラリーを繰り返している様子を見ると、目の前のコレクションには興味がないことが分かります。最高のショーが繰り広げられていたら、いくら揉め事の真っ只中でも10分くらいはラリーを中断するでしょうからね。実際、目の前のコレクションは、「まぁ、普通」だったかもしれません。
と、今は良きにつけ悪しきにつけ、ダダ漏れる感情とスマホはセットに近いものがあり、これを観察すると相手の喜怒哀楽が分かる時代になりました。だからですね、そろそろいろんなところで撮影解禁にして良くないか?って思うのです。店舗とか、ライブとか、プレスを呼んでる記者会見とか、ダメでしょうか?
特に店舗です。韓国ではインスタ映えブティックが増殖し続けていますよね?たしかに試着室で撮影だけして、「はい、おしまい」はちょっと悲しい。でも、ブランドに対する敷居は絶対に下がるし、究極、それだけでも関係性が生まれるなら悪い話じゃないのでは?そう思ってしまうのです。甘いですか?
専門学校などに赴き生徒に話を聞くと、彼らの大半は、ことラグジュアリーブランドのブティックにビビっています。正直、僕でさえビビるのだから、当然でしょう。そこで、今や彼ら、いや我らの心の支えにもなっているスマホを完全“解禁”してあげられたら、なんて思ってしまうのです。
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