福井県鯖江市の大手アイウエア企業シャルマンの新社長に、本庄正享(ほんじょう・まさきよ)・専務執行役員兼シャルマンUSA社長兼CEOが3月26日付で昇格した。シャルマンは昨年、主力のオリジナルブランド「ラインアート シャルマン(LINE ART CHARMANT)」がデビュー10周年で、東京・銀座並木通りに唯一の直営店をオープンするなど節目の年となり、これを弾みにして今年を変化の年としたい考えだ。10年ぶりの社長交代でシャルマンは今後どう変わるのか。全体の売り上げの約30%を占めるアメリカの現地法人のトップを務めるなど、約70%に上る海外ビジネスの成長に長年携わった本庄新社長が目指す新しいシャルマンの企業像は、“インターナショナルスタンダード”だ。本庄氏に抱負を聞いた。
WWD:新社長としての使命は?
本庄正享シャルマン社長(以下、本庄):私の役割をひと言でいうなら、シャルマンの企業価値を上げること。自分の海外経験を生かしてインターナショナルスタンダードを目指したい。働き方改革や生産性の向上に取り組み、良い面は残して継承し、企業の色を変えていきたい。ささいなことが大きく変わるヒントになることがある。当たり前のことだが、権限と責任を明確にすること。海外の企業と比べて遅れている部分やマンネリ化もあった。トップが変わるときは変化のチャンスだ。
WWD:ビジネスのポイントとして考えていることは?
本庄:大きな柱である「ラインアート シャルマン」を活性化すること。国内外における高価格帯商品の中で支持は高いが、現在のビジネスにまったく満足していない。
WWD:昨年、銀座並木通りにオープンした直営店の位置づけは?
本庄:銀座並木通り店は、「ラインアート シャルマン」の全種類をそろえているだけでなく、独自のシステムを導入して、お客さま一人ひとりに最適なフィッティングとレンズを提供している。また、シャルマンのメッセージを世界に発信する拠点として、ブランディングを担う役割があると思っている。
WWD:12月期決算の結果は?
本庄:わずかながら増収増益だった。国内は苦戦したが、欧米が好調だった。現地法人の努力の結果だ。
WWD:新型コロナウイルス感染拡大の影響は?
本庄:シャルマンは中国・上海に販売会社、広東省とアモイに自社工場があるが、社員のほぼ全員が通常勤務に復帰しており、工場の稼働率は約80%に回復している。商品の供給は滞っていない。2月上旬までの売り上げは好調を維持したが、上海以外で営業活動ができていないことから、この1カ月の中国における売り上げは約20%減の影響を受けた。
WWD:7月に延期された国際眼鏡展「ミド(MIDO)」に出展するか?
本庄:まだ決めていない。新型コロナウイルス感染拡大の影響がいつまで続くか不透明だ。ヨーロッパの販売会社と協議しながら判断したい。