LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は3月27日、2020年1〜3月期(第1四半期)決算の売上高が前年同期比10〜20%減となる見通しを発表した。
「ルイ・ヴィトン」や「ディオール(DIOR)」などを擁する同社は、「新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために各国政府が実施している対応策によって、生産拠点の閉鎖や店舗の休業などを余儀なくされていることから、売り上げなどに影響が出ている。事態がいつごろ収束するのかが分からないため、現時点で正確な数字を出すことは難しい。しかし先行きが不透明な世の中にあっても、引き続き質の高い製品を提供して、ブランド価値を維持することに尽力する」とコメントした。同社は4月16日に第1四半期決算を発表する予定だ。
新型コロナウイルスの影響により、業績の下方修正をするラグジュアリーブランドが相次いでいる。「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを擁するケリング(KERING)は、20年1〜3月期(第1四半期)の売上高として同13〜14%減、既存店ベースでは同15%減を見込んでいると発表。バーバリー(BURBERRY)は、ここ6週間の売り上げが同40〜50%減となっていること、また3月後半における既存店ベースでの売上高が同70〜80%減になると予想されることを発表しており、20年1〜3月期(第4四半期)の売上高は同じく既存店ベースでおよそ30%減になると見込んでいるという。
こうした状況の中でも、新型コロナウイルス対策への支援として活動資金や医療品などの寄付を行っているアパレル企業も多い。また店舗の休業中にも、従業員の給与を保障しているケースが多く見られる。
シャネル(CHANEL)もそうした一社で、生産部門なども含めてフランス国内におよそ8500人の従業員を抱えているが、その全員に8週間分(3月16日〜5月8日)の給与を保障する。フランス政府が打ち出した緊急経済支援策には、休業期間中に従業員に支払う賃金を国が補填する制度が盛り込まれているが、同社はこれを利用しないという。「自社でまかない、公共財政に負担をかけないようにすることが目的だ。その分をより困っている企業や、医療制度および医療従事者へのサポートに回してほしい」と説明した。
シャネルはまた、パリの公立病院やフランスの緊急医療サービスを支援する基金に120万ユーロ(約1億4280万円)を寄付するほか、医療従事者や警察、消防士向けの医療用マスクを5万枚提供する。それに加えて、提携先の工房や工場で医療用マスクや防護服を生産するために必要な申請を行ったという。なおLVMHやケリングも支援金の寄付や、医療用マスクおよび防護服などの寄付や生産に乗り出している。