トッズ・グループ(TOD’S GROUP)のディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)会長とアンドレア・デッラ・ヴァッレ(Andrea Della Valle)副会長は、2020年の報酬を返上することを発表した。
これは新型コロナウイルスの影響による業績悪化を踏まえたもので、19年におけるディエゴ会長の報酬はおよそ180万ユーロ(約2億1420万円)、アンドレア副会長はおよそ130万ユーロ(約1億5470万円)だった。当面は配当金の支払いも中止するが、株式の71%を創業家のデッラ・ヴァッレ一族が保有している。
同社はまた、新型コロナウイルス対策に関する支援プロジェクトに純利益の1%に当たる45万ユーロ(約5355万円)を充当する。なお同社の19年12月通期決算の売上高は、前期比2.6%減の9億1598万ユーロ(約1089億円)で、純利益は同1.7%減の4565万ユーロ(約54億円)だった。
エミリオ・マチェラリ(Emilio Macellari)最高財務責任者によれば、19年10〜12月期(第4四半期)の売り上げは前年同期比1.7%増と回復の兆しを見せており、新型コロナウイルスの影響が出始める20年1月の第3週までは引き続き好調だったという。同氏は、「20年上期がどうなるのかを予想することは難しいが、下期のほうがましなのではないかと思う。いずれにしても、確たる数字を発表するには時期尚早だ」とコメントした。
イタリアは3月30日の時点で新型コロナウイルスの感染者数が10万人を超えるなど深刻な事態に陥っており、同国を拠点とするグッチ(GUCCI)、ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」など多くのラグジュアリーブランドが寄付や医療品の提供といった支援策を相次いで発表している。
「ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」などを擁するOTBも、イタリアのファッション業界総連盟(Confindustria Moda)などと協定を結び、「OTB連帯基金(Brave OTB Solidarity Fund)」を設立する。
これはOTBの経営陣が最低5日間の有給休暇を返上して、その日給分の金額を同基金に寄付するという仕組みだ。集まった資金は、新型コロナウイルスの影響で休業せざるを得ず困窮しているグループ社員に分配される。
なお同社の19年12月通期決算は、売上高が前期比6.4%増の15億3000万ユーロ(約1820億円)で、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は前年の4150万ユーロ(約49億円)から1億9000万ユーロ(約226億円)へと大幅に増加した。ブランド別では、「メゾン マルジェラ」は売上高が同36%増の2億ユーロ(238億円)となるなど特に好調だった。