米IT大手フェイスブック(FACEBOOK)がニュースメディア業界を支援するため、1億ドル(約108億円)の追加投資を行うと公表した。このうち2500万ドル(約27億円)はフェイスブック・ジャーナリズム・プロジェクト(Facebook Journalism Project)を通じ、広告の落ち込みに苦しむ地元メディアに緊急支援金として支払われる。残りの7500万ドル(約81億円)は追加マーケティング費に割り当てられ、世界中のニュースメディアへの資金の流れを促す。
キャンベル・ブラウン(Campbell Brown)=グローバル・ニュー・パートナーシップ統括バイス・プレジデントは自身のブログで「新型コロナウィルスの感染が拡大する中、人々に情報を届け続けるためメディア業界は非常に困難な状況下で働いている。今、ジャーナリズムが最も必要とされている一方、新型コロナ拡大の影響で広告収入は減少している」と述べた。
同氏は「地元ジャーナリストへの影響は特に大きい。それでも地元の人々からは、友人や家族、コミュニティーが安全であるために必要な情報を求められている」と付け加えた。
実際、全米の娯楽週刊誌の多くは人員の一時解雇や一時発行停止を余儀なくされているが、これは地元の飲食店や商店、イベントなどが休業し、広告収入が激減したためである。
苦境に立たされているのは地元メディアだけではない。新型コロナ拡大の記事に関連した業務の増加に見合うほど広告収入は伸びず、3月下旬には「バズフィード(BUZZFEED)」と「アメリカン・メディア・インク(AMERICAN MEDIA INC.)」が給与カットを行っている。「Wマガジン(W MAGAZINE)」は従業員の多くを一時解雇し、「プレイボーイ(PLAYBOY)」は印刷版の発行を停止している。
フェイスブックは昨年、リポート・フォー・アメリカ(Report for America)やピュリツァー危機報道センター(Pulitzer Center on Crisis Reporting)、コミュニティー・ニュース・プロジェクト(Community News Project)やフェイスブック・ジャーナリズム・プロジェクト(Facebook Journalism Project)の教育プログラムなどを通じ、ジャーナリストに向けた3億ドル(約324億円)の援助を表明していた。
同社は3月下旬にも支援金の新しいプログラムに1億ドルを準備しており、新型コロナ拡大の影響で深刻な財政難に直面している中小事業者に対し、個別に現金支援を行う。
ローカルメディア協会(Local Media Association)のナンシー・レーン(Nancy Lane)最高責任者は地元メディアへの2500万ドルの支援について、「フェイスブックによるこの資金支援は、現在危機の真っただ中で報道を続けるジャーナリストたちを助け、また地元メディアが、より持続可能なデジタル基盤構築に向けたビジネス改革を促進するよい機会になるだろう」と語った。