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先輩は後輩を連れ回す。本当にそれでいいのかな? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年10月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

先輩は後輩を連れ回す。本当にそれでいいのかな?

 先週あたりでしょうか?ツイッターに「デザイナーを目指す若者に、ビジネスの教育を!!」というニュアンスのツイートが登場し、賛同するコメントが多数寄せられていました。現状を嘆く、厳しいコメントもありました。仕事柄、専門学校に伺ったり、デザイナーのタマゴに会ったりの機会が多いのですが、コメントには基本、賛同しています。

 最近は、「変わり始めた学校」と「変われない学校」の格差が如実なように思います。「変われない学校」は、すぐに分かります。「あの時の『ディオール(DIOR)』」的な往年の偉大なコレクションに「ステキでしたよね?」と共感を求めてくる先生と、「ここの始末、頑張ったんです」とか「キレイに縫えてるわね」など「頑張り」や「テクニック」で順位を決めようとする卒業コレクションが目印です。もちろん「あの時の『ディオール』」はステキでしたし、「頑張り」や「テクニック」が無価値とは思いません。けれど今デザイナーを目指す生徒に教えるべきは、「今の『ディオール』」。彼ら、彼女たちはお針子さんになりたいワケではないので、「ここの始末」よりコンセプトやアイデアで評価しなければ、と思います。先生も変わらなくちゃ、なのです。

 最近は、会社でも先輩、つまり「われわれが変わらなくちゃ」と思う機会が増えました。先輩が後輩を連れ回す――。どこでもある光景なのでしょうが、ぶっちゃけると「そんなに連れ回すべきなのか?」と思っています。

 先輩は、自分、もしくはその先輩が切り開いて築いた人脈を紹介しようと一生懸命です。「あの時の『ディオール』」や「頑張り」「テクニック」同様、それが無価値だなんて全く思いません。でも、それでもそれは、結局のところ先輩の世界。後輩が先輩の世界で、先輩のように振る舞えるようになることは、喜ぶべきことなのでしょうか?むしろ先輩の仕事は、後輩が彼・彼女たちの世界を築けるよう話を聞き、背中を押し、アウトプットに際しては媒体として、会社としての責任が取れるようチェックする。そうあるべきでは、と思うのです。

 業界が激変しているように、後輩の興味・関心は、先輩のそれとは全然違います。びっくりするほど、違います。そして先輩の世界が、10年後、20年後も、後輩が追い続けるべき規模感や影響力を有しているとは限りません。きっと新興勢力が続々と誕生し、エキサイティングなニュースをもたらしてくれるでしょう。ならば、なおさら。後輩の興味・関心を育むことこそ、媒体が、時代に即して成長するための手段になるハズなのです。

 先輩の世界を連れ回す、だけでは、先輩は変わっていません。先生同様、それでは多分ダメなんです。

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