女性が1回の生理期間中に使用する生理用ナプキンの枚数は20~25枚といわれている。日本女性のほとんどは、生理期間中はナプキンやタンポンを使用しているが、最近は“第3の生理用品”ともいわれている月経カップも話題。近年は、台湾発の「ムーンパンツ(MOON PANTS)」やアメリカ発の「シンクス(THINX)」など海外を中心に選択肢の一つとして、ショーツ本体が吸収するナプキン不要のサニタリーショーツも使用されている。そして今夏、日本人のヒップサイズに合わせたメード・イン・ジャパンのサニタリーショーツが「ガールズリープ」から登場予定だ。開発したマーキット代表の宮口真由美氏に誕生の経緯から、性への問題点についてまで聞いた。
WWD:なぜナプキン不要のサニタリーショーツを開発するに至ったのか教えてください。
宮口真由美(以下、宮口):小学生の娘のために生理用品の準備を始めようとしていたところ、アメリカ人のママ友が「アメリカには便利なショーツがある」とサニタリーショーツを教えてくれました。取り寄せてみたところ、一番小さいXSサイズでも日本では大人のMサイズ相当。日本の子どもにはサイズが大きすぎて、使用をあきらめたことがありました。その後、娘が通っているバレエ教室の友達が「レッスン中に(生理の血で)タイツを汚してしまったから」という理由で大好きなレッスンを長期間休んでしまったことがあったんです。生理で女の子がつらい思いをするのは心が痛く、「前に取り寄せたあのショーツが日本にあれば、娘も娘の友達もこんな思いをせずに済むのに」と考え、もともとレディースアパレルの企画・生産会社を経営していたのでレディースインナーのバイヤー経験を生かして商品開発をスタートしました。現在は、クラウドファンディングサービス「マクアケ」で4月27日までクラウドファンディングを行っており、一般販売は2020年8月ごろの予定です。
WWD:日本には海外製のサニタリーショーツも展開されていますが、「ガールズリープ」のサニタリーショーツの特徴は?
宮口:最大の特徴は日本人のヒップサイズに合っていること。日本人は欧米の人と比べるとやはりヒップの形が異なります。サニタリーショーツは機能上、通常のショーツよりフィット感が重要なポイントになります。また、素材の選定にもこだわりました。肌に当たる面、吸水布、防水布、外面の4層構造になっていますが、特に肌の当たる面の素材は当初オーガニックコットンにこだわっていましたが乾きが遅く、着用していて不快感が残りました。そこから何度も試作を重ね、現在のコットンタッチで吸水速乾のポリエステル素材を採用することになりました。出血量が多い日や心配なときはナプキンやタンポンとの併用をおすすめしますが、「ガールズリープ」の吸水量は20cc程度なので、少ない日はこれ1枚でOKです。
WWD:サニタリーショーツをどんな人に使ってほしいですか。
宮口:これから生理用品が必要になる小学校高学年とそのママを対象に考えていました。しかし展示会などに出展してみると、会社勤めの20~30代女性も社内で生理用品を持ち歩くときにコソコソするなど苦労があると聞き、日本中に悩める女性はたくさんいるんだと気付きましたね。
WWD:海外ではサニタリーショーツの使用が少しずつ習慣となってきていますが、日本ではまだまだ普及していません。
宮口:日本のナプキンはとても高品質で便利です。たまに不便だと思うことがあってもそれより便利な商品もなく、またナプキンに戻ってしまっているのが現状かと推測します。しかし、サニタリーショーツはズレを気にしなくてよい、ゴミを削減できる、生理用品の持ち歩きが不要というメリットもあります。洗濯時はつけ置きが必要なのでひと手間はありますが、今はサステナブルが注目されています。この点においては、明らかに使い捨て商品より優れているので、サステナブルライフの広がりが「ガールズリープ」の普及を後押ししてくれるのではないかと思います。
WWD:日本において、性への問題点はなんだと思いますか?
宮口:“性差はあるけれども、その差に優劣はない”という考え方が定着していないことが1番の問題だと思います。日本では女性が性について語ることをタブー視する傾向が強い。もっとフラットに語ることができ、問題を男性とも共有できれば解決できることも多いのではと考えています。大丸梅田店に“女性の性と健康に関する売り場”の「ミチカケ」ができましたが、こういったことが増えてフェムテックがもっともっと盛り上がってほしいと思います。多くの企業が参入し、共に市場を切り開いていければ最高だと思います。ライバル大歓迎です!今は、“注目を浴びる存在=珍しいもの”の段階だと思います。消費する女性も起業する人も増え、フェムテックという特別な呼称がなくなるのが理想ですね。