新年度が始まり、新入社員を迎えるべく各企業が入社式を開催する。しかし今年は例年と異なり、新型コロナウイルスの影響を受けて入社式を延期にする企業も少なくない。ビューティ業界では4月1日に資生堂やコーセー、ポーラ・オルビスホールディングスなどが動画配信での入社式を行った。
資生堂は4月1日に都内の会場で予定していた入社式を中止し、ウェブ配信に切り替えた。対象は資生堂グループ会社の新入社員854人。ウェブ配信は、会社貸与のPC端末やiPad・iPhoneから専用ウェブサイトを介しての視聴となった。
その中で魚谷雅彦・資生堂社長兼CEOは「今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、新入社員のみなさんやご家族の安全と健康が最重要であることから、入社式のウェブ開催を決断した。このような2020 年に入社をされたということを、一つの記憶としてしっかり覚えていていただきたい。これから社会人としてのスタートを切る上で、さまざまな変化の中でも常に自分に何ができるのかを考え、行動し、これから入社する資生堂という会社だけでなく、会社を通じて社会の役に立つ人材になってほしい。そして、一刻も早くこの事態が収束し、元気なみなさんと会社で直接会える日が来ることを待ち望んでいる。当社は積極的にキャリアを開発・発展する機会を提供している。みなさんの将来の夢や人生の自己成長を実現するための場所として、資生堂を最大限に活用してほしい。私たちの強みは人の力と、“One Shiseido”という共通の使命感と価値観をもとにした団結力だ。世界中の仲間とともに、今日から一緒に考え、チャレンジをしよう!」と述べた。
今後、総合職および美容職は、首都圏での例年の1カ月間の合同研修は見送り、オンラインでの基礎研修を5日間実施。その後、各領域に着任となる。関係会社などは領域によって異なるが、首都圏配属の社員ついては基本的に自宅での研修を継続予定で、5月以降の研修に関しては状況を注視しながら検討する。
コーセーも総合職で採用の53人を対象に入社式を動画配信した。小林一俊コーセー社長は、「新型コロナウイルスの感染拡大は、すでに世界的規模で広がり、あらゆる分野で多大な影響をもたらしている。経済的側面においても株価の下落など、リーマンショックや東日本大震災を超える大きな影響が出てきている。当社では、これまでもグローバルかつボーダレスでの事業拡大に取り組んできたが、一方で、このフィールドで事業を展開していく上でのリスクの大きさを見せつけられた。まさに“転換の局面”を迎え、いろいろな意味で変化への対応が必要である」と述べ、新入社員に期待することとして、「消費行動やコミュニケーションの変化にどう対応し、お客さまに提供する付加価値をどう高めるか、お客さまへの新たなサービスをどう創造するかだ。コーセーというブランドに頼るのではなく、自身を磨くことを通じて、新たなコーセー像は自分自身が創っていくのだという気概を持ち、業務に取り組んでほしい」とエールを送った。
また、後日開催されるビューティコンサルタント職452人の入社式もウェブで動画配信する。
ポーラ・オルビスホールディングスも現在の状況を考慮してグループ会社を含む85人の新入社員を対象にした入社式をウェブ配信で行った。グループ会社によって配属は異なるものの当面は在宅での業務を予定している。