複数の情報筋によると、米老舗百貨店ロード&テイラー(LORD & TAYLOR)はニューヨークの本社幹部らを解雇しており、今後清算を進める可能性があるという。
同百貨店に詳しい情報筋は「社長、バイヤー、アシスタントバイヤーから事務職員まで多くの従業員が解雇されている」と話す。「清算を見据えてか財務幹部は解雇されず、また店舗の運営も維持できる状態だというが、新型コロナウィルス感染拡大の影響が落ち着いて、店舗が再開できるまでは、清算の具体的な計画は進まないだろう」と付け加えた。3月31日には内部の関係者を広く集めて電話会議が行われたという。
また別の情報筋によると、ロード&テイラーの従業員のうち店舗の運営に必要な店員などは一時解雇となっているようだという。3月末にはメイシーズ(MACY'S)やニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP)、コールズ(KOHL'S)など他の大手小売りも相次いで従業員を一時的に解雇している。
この件について、親会社である衣料サブスク企業、ル・トート(LE TOTE)の広報に問い合わせたが、回答は得られていない。
ロード&テイラーは業績不振が長く続き、2019年8月に親会社だったハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY)からル・トートに7500万ドル(約81億円)で売却されている。ニューヨーク5番街にあるロード&テイラー旗艦店は17年にウィーワーク(WEWORK)に売却され19年1月に閉店しているが、アマゾン(AMAZON)への売却が決まっている。
ル・トートはロード&テイラーの知的財産、デジタルチャネルや在庫などを含めて買収し、38店舗の運営も引き継いだ。同時にハドソンズ・ベイ・カンパニーはル・トートの株式約25%を取得し、役員2人の任命権を得ている。
新型コロナ拡大で、J.C.ペニー(J.C. PENNEY)やニーマン・マーカスなど他の百貨店も窮地に追い込まれている。後者については破産法適用申請の準備に入っているとみられており、4月中旬に申請が行われるとの見方も出ている。