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新型コロナで死亡した従業員遺族がウォルマートを提訴 ずさんな管理体制を批判

 新型コロナウイルスによる合併症で死亡した米小売最大手のウォルマート(WALMART)の従業員の遺族が、新型コロナウイルスのパンデミックが発生している状況下で営業を続け、予防対策を怠ったことで従業員を危険にさらしたとして、同社を相手取り損害賠償を求めて訴訟を提起した。

 死亡した従業員のワンド・エヴァンス(Wando Evans)は、イリノイ州にある店舗で10年以上勤務していたが、3月末に新型コロナウイルスに伴う合併症により死亡した。訴状によると、死亡する2日前まで働いていたという。一方でウォルマートの担当者は、「この事案を深刻に受け止め、訴状の内容を確認次第対応する」とコメントしたが、エヴァンスは死亡する直近1週間以上は出勤していなかったと主張し、双方で意見が食い違っている。

 遺族によると、ウォルマートは以下のとおり十分な予防対策を行っていなかったという。

・店内におけるソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)について周知徹底しない

・勤務中の従業員にマスクやゴム手袋を支給しない

・新型コロナウイルスの症状がみられる従業員の存在を他の従業員に注意喚起しない

・症状があると申告した従業員の申し出を無視する

・石けんや除菌アイテムを提供しない

・疾病対策予防センターが推奨する定期点検を実施しない

 ウォルマートの担当者は、「洗浄や殺菌対応を強化し、重要箇所を重点的に消毒する」とコメントしている。また、エヴァンスの死亡後1週間以内に実施された「第三者機関による安全性および環境衛生の検査と保健所の調査をクリアしている」と主張する。また、「エントランスやカート、レジ、トイレといった接触頻度の高い場所や、食品エリアは全て消毒した。従業員や買い物客を守るために可能な限りの対策を引き続きとっていく」としている。

 遺族によると、同店舗ではエヴァンスとは別の従業員も3月末に新型コロナウイルスによる合併症で死亡しているという。同店舗は感染者が確認された際の対処手順や隔離措置のルールを定めていなかったという。また、こうした事態が起きているにもかかわらず、同店舗では電話などを使用した非対面方式で新規従業員の採用を積極的に行っており、従業員が感染しているかどうかのチェックを怠っていたと遺族は主張し、新型コロナウイルスの感染症状を発症したとみられる従業員が出た段階で、店舗を閉鎖すべきだったと訴える。

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