緊急事態宣言を受けて、ヘアサロンやエステサロンは営業自粛や時短営業などの対策を迫られている。しかし、いつ、どのような形で、どのような額の補償がなされるのか不透明なままで、経営者やスタッフは不安な日々が続いている。そんな中、スタッフや契約美容師に独自の支援を検討する企業も現れだした。
東京・大阪を中心にシェアサロンなどを展開するミラーボールは、新型コロナウイルスによる店舗閉鎖などが起きた場合、雇用する正社員だけでなく、契約するフリーランス・業務委託契約の美容師にも休業補償を行うことを決定した。
正社員の美容師の場合、基本給に加えて歩合部分に関しても、昨年の半年間の平均の歩合賃金を補償する(2020年5月末まで)。業務委託契約の美容師の場合、店舗閉鎖が1カ月間に及んだ場合は20万円の報酬を補償、2週間の場合は約10万円、1週間の場合は約5万円を補償する(5月末までで、過去の売り上げ実績により多少の変動有り)。また、希望者には無利息の融資を行うという。
美容師、ネイリスト、ヨガインストラクターなど多様なプロが集まる複合型シェアサロン「クノア(Qnoir)」を展開するクノアは、経営難に直面する美容関連業界のフリーランスや経営者向けに、同サロンの4~5月の月額会費を無料で提供するフリーレントプランを実施する。
同サロンは、家賃に比べて固定費を削減させた月額会費と、利用した時間に応じたスペース利用料を支払ってもらうモデルで持続可能な働き方を提案してきたが、4~5月は新規申し込みを対象に月額会費を無料とすることを決めた。月額会費はプランにより異なるが1万~5万円で、対象月はそれが0円となり低コストでの営業が可能になる。
ハンドリフレクソロジーのサロンプロデュースなどを行うおてやすみは、ハンドマッサージのフリーパス(120分の施術で1万円、有効期限6カ月)を発行し、発行枚数に応じてセラピストの仕事案件を保証するとともに、1人1日1万円を支給する。
「フリーパスの発行枚数にもよるが、生活に困っているセラピストを優先に1日1万円を支給し、できる限り全員に行き渡るように努めている。また、新型コロナショックによるシフトカットで収入が減った方、職を失う方が増えている状況を受け、全くの未経験者であっても講習を受けた後に、セラピストとしてサポートを受けながら仕事ができるようにするシステムも整えている」と同社担当者は話す。
新型コロナウイルスの影響による自粛がどこまで長引くのか不明で、国や地方自治体による補償も固まらない中、金銭面で不安を感じているスタッフをサポートする独自の動きは今後も広がっていきそうだ。