英百貨店デベナムズ(DEBENHAMS)は新型コロナウイルスによる業績悪化で、破産保護申請のための準備を進めていることが分かった。同社は4月6日に管理人の任命を求める通知書を提出し、FRPアドバイザリー(FRP ADVISORY)のジェフ・ローリー(Geoff Rowley)とアラステア・マッセイ(Alastair Massey)が管理人に就任している。
英国内の店舗は残し、アイルランドのビジネスを清算する。管理人らはアイルランドのビジネスを統括しているアイルランドのデベナムズ リテール(DEBENHAMS RETAIL)の清算人を指名するという。また、同社はすでにアイルランド国内にある11の店舗の営業を新型コロナウイルスによる業績不振を理由に停止し、オンラインのみでの営業を続けている。営業を停止した店舗の多くは再開の予定がなという。同社は、「アイルランド事業に関係する従業員は、アイルランド政府の支払い支援スキームを活用して一時解雇を通達した」と説明する。
同社が展開する英国内の142店舗については、英国政府の通達に従い現在も閉鎖している。また閉鎖期間中は、管理人は既存の経営陣と協力して再建を目指し、政府の営業規制解除後は1店舗でも多く再開できるように準備を進めるという。
ステファーン・ヴァンステーンキステ(Stefaan Vansteenkiste)=デベナムズ最高経営責任者は、「管理者を任命したことで、政府の規制が解除された後もビジネスや従業員やその他の関係者を守ることができる。アイルランド事業を継続できないことについては大変申し訳なく思う。しかし現在の状況においてはその他の選択肢がなかった。この責任を重く受け止めており、現地の優秀な従業員を軽んじた結果ではない」と説明する。
デベナムズはECへの参入が遅れたことなどが影響して業績が悪化し、2019年4月に事実上の経営破綻に陥り、債権者所有の新会社の下で再建を図っていた。