3月に開催予定だった「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」の中止が3月2日にほぼ一斉に通達され、複数のブランドはデジタルを使った発表方法に切り替えた。演出やスタッフはほぼそのままで無観客ショーを行ったり、バイヤーやエンドユーザーに分かりやすく服を紹介するためにルック撮影の体数を増やしたりするなど、手法や目的はさまざま。ほとんどのブランドが展示会期間に合わせて「RFWT」が開催されるはずだった3月16〜21日の週にこれらを行っており、撮影から映像編集、写真のレタッチを実質2週間弱という短い期間で準備せざるを得なかった。しかし彼らが開拓した新たな道すじがきっかけとなり、これまではランウエイショーかビジュアル撮影かがほとんどだったコレクションの発表方法に、今後は動画などのデジタルでの表現が加わるのは確実だろう。6月の海外メンズ・コレクションもミラノは延期、パリは中止が決定しており、その先のスケジュールさえ不透明な今、デジタル化へのシフトが他業種に比べて出遅れていたファッション業界にとって、いよいよ本腰を入れないと生き残れない局面を迎えている。これはブランドだけではなく、小売やメディアにとっても同じだ。とはいえ、東京デザイナーが挑んだデジタルの施策の取材を通じ、2次元の世界でプロのバイヤーや一般の消費者の心を動かすには試行錯誤がまだまだ必要だと感じた。(この記事はWWDジャパン2020年4月6日号からの抜粋です)
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