「ザラ(ZARA)」などを運営するインディテックス(INDITEX)はサプライヤーへの支払いを約束すると発表した。同社は他の大手アパレルや小売りと共に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業する縫製工場に対する支払いをNPO主導のオンライン請願書によって求められていた。
同社は、「サプライヤーに対して責任を持って対応する。すでに生産済み、もしくは生産途中にある注文分について、当初の支払い条件通りに全額支払うことを保証する」と述べ、サプライヤーと協力して新型コロナ対策に取り組むとした上で、「工場で働く労働者の健康を守るため、労働環境がガイドラインに沿って整備されているか確認する」と付け加えた。
ファッション業界における女性の待遇や、ファッションが環境に与える影響について消費者に伝える取り組みを行うNPOのリメイク(Remake)は4月3日に“#ペイ・アップ(#PayUp)”請願を開始し、世界大手ファッションブランドなどに対し、バングラデシュやインド、ミャンマー、カンボジアなどにある縫製工場に注文予定分の30億ドル(約3240億円)超の支払いを求めた。
同NPOは、ブランド各社が支払いを止めたことで世界の縫製工場で働く労働者は解雇手当や貯金、健康保険もないまま失業状態にあると主張し、新型コロナ拡大でこうした影響を受ける労働者は約5000万人に上るだろうと訴える。同NPOの主張は、バングラデシュ労働者連帯センター(Bangladesh Center for Worker Solidarity)とデニム生地や商品を生産するバングラデシュの企業デニム・エクスパート(DENIM EXPERT LTD.)からの情報に基づくもの。
請願書には、H&Mやマンゴー(MANGO)、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などのブランドを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION)、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP)のほか、プライマーク(PRIMARK)、J.C.ペニー(J.C. PENNEY)、ウォルマート(WALMART)、マークス&スペンサー(MARKS & SPENCER)、ターゲット(TARGET)など、欧米の大手企業が名を連ねる。
3月にはH&Mも、納品済み分だけでなく生産中の製品についても契約通り支払うことを表明している。一方、アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ(ASSOCIATED BRITISH FOODS)が展開する激安店のプライマークは、在庫調整の必要性から新たな発注をしないことをサプライヤーに通知している。同社は12カ国、全375店舗を休業しており、月ごとの売り上げ減少額は6億5000万ポンド(約871億円)に上ると見られている。