ファッション

2020年度「LVMHプライズ」の最終選考が中止 賞金はファイナリストと歴代受賞者の支援に

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、6月5日に最終選考が予定されていた2020年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」の中止を発表した。それに代わり、アメリカファッション協議会(CFDA)同様、新型コロナウイルスのパンデミックにより深刻な財政難に直面する若手デザイナーの支援を行う。

 今年度のファイナリストに選ばれていた小泉智貴「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナーやピーター・ドゥ「ピーター ドゥ(PETER DO)」デザイナーら8組には、グランプリ賞金30万ユーロ(約3510万円)を競う代わりにそれぞれ4万ユーロ(約468万円)が与えられる。ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOのアドバイザーも務めるジャン・ポール・クラヴリー(Jean-Paul Claverie)LVMH社会貢献活動部門責任者が、米「WWD」の独占インタビューで明かした。

 一方、特別賞である「カール・ラガーフェルド賞」の賞金15万ユーロ(約1755万円)は、若手デザイナー支援のための基金の一部として使われる。クラヴリーLVMH社会貢献活動部門責任者は、同基金の総額については明言を避けたが、プライズ追加予算によって補填されるという。助成金を受けられるのは「マリーン セル(MARINE SERRE)」や「ダブレット(DOUBLET)」「ジャックムス(JACQUEMUS)」など過去のグランプリと特別賞の受賞者。申請の詳細は後日発表される。

 「『LVMHプライズ』は若手デザイナーと連帯するものであり、このコミュニティー全体が今の状況を乗り切り、よりポジティブな未来を見据えるための助けになることを願っている。経済的な支援というだけでなく、彼らが一人ではないということを知るための非常に重要な道徳的サポートでもある。特に困難な時、私たちは彼らの力になる」とクラヴリーLVMH社会貢献活動部門責任者。またプライズの発起人でもあるデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「『LVMHプライズ』は創設以来、若い才能を取り上げ、育成してきた。このような厳しい状況の中、若手デザイナーを助けるためのこの基金は、過去の受賞者をサポートすることでプライズの主要なミッションを強調している」とコメントした。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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