「ロレックス(ROLEX)」「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」「シャネル(CHANEL)」「ショパール(CHOPARD)」「チューダー(TUDOR)」の5ブランドは4月14日、高級時計財団(FONDATION DE LA HAUTE HORLOGERIE、以下FHH)を通じて、2021年1月28日から2月2日にスイス・バーゼルで開催される世界最大の時計見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)2021」への不参加を発表した。いずれも、これまでは同見本市のメインホールに巨大なブースを構える主要ブランドだった。ブランドのニーズや期待に応えられない運営、出展社の意向を聞くことなしに新型コロナウイルス感染拡大の影響による延期を独断で決めたことなどを理由に挙げている。
5ブランドは、FHHが新設する見本市に出展する。新見本市の名称は未定だが、1991年に「バーゼル・ワールド」から分離独立してジュネーブで開催される「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA、旧S.I.H.H.)」と同時期に同会場で行うという。
「バーゼル・ワールド」を運営するMCHグループは14日夜、“発表への驚愕”と題したメールを関係者に送信した。同グループは、“出展社と財政的問題で交渉を続けること”や“「バーゼル・ワールド」の継続に向けて努力と追加投資を行う”としている。「バーゼル・ワールド」に出展していた他のスイス時計ブランド、なかでもFHHに加盟するブランドは“ジュネーブの新見本市”への出展に転換するかもしれない。「バーゼル・ワールド」は、まさに解体の危機にある。
「バーゼル・ワールド」は1917年にスタート。最盛期には1700を超える時計・宝飾ブランドが出展したが、2010年ごろから高額な出展料やラグジュアリービジネスの場にふさわしくないホスピタリティーなどに不満が噴出し、18年には世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)が離脱した。