ファッション

「マノロ ブラニク」「アレキサンダー・マックイーン」などが自宅で過ごす人びとにアプローチ さまざまなプログラムを開始

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、“家にいよう(Stay Home)”という動きが浸透し、世界中で外出自粛の流れが続いている。そんな中で、欧州の各ファッションブランドがSNSを通じたクリエイティブなアプローチで消費者とのつながりを保とうとしている。

 「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」のデザインコンテストや、「ロエベ(LOEWE)」がインスタライブを通じて行うアーティストのスタジオツアー、英老舗セレクトショックのブラウンズ(BROWNS)がデザイナーや活動家、詩人やモデルたちを取り上げたシリーズ形式のコンテンツ「ファミリーアフェア」など、各ブランドの楽しいアップデートを紹介していく。

1. 「アレキサンダー・マックイーン」

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」では2つの取り組みを開始している。インスタグラムでのプロジェクト「マックイーン・クリエイターズ」では、投稿された写真を通じてブランドの代表的なデザインにスポットを当てつつ、フォロワーのクリエイティビティーも刺激している。

 ボンドストリートに位置する旗艦店のトップフロアで行われた展示会「ローズ(Roses)」のイメージ写真を公開し、自宅にある素材を使って制作した立体的な花の写真を公開するようフォロワーに呼び掛けた。同ブランドをタグ付けし、“#McQueenCreators”のハッシュタグを付けて4月14日までに投稿された写真の中から選出された作品が、後日オフィシャルインスタグラムで紹介される仕組みだ。

 また、音楽ストリーミングサービスのスポティファイ(SPOTIFY)には、過去のファッションショーで使用された音楽をストリーミングできる公式チャンネル「マックイーン ミュージック(#McQueen music)」を開設した。楽曲の編集を担当したのは、20年以上にわたって同ブランドのショーのサウンドトラックを手掛けるジョン・ゴズリング(John Gosling)だ。英女優フィービー・ウォーラー・ブリッジ(Phoebe Waller-Bridge)の姉で作曲家のイソベル・ウォーラー・ブリッジ(Isobel Waller Bridge)や、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラ(London Contemporary Orchestra)とのコラボレーションも計画中で、新たな楽曲やプレイリストの作成も行われる予定だ。

2. ブラウンズ

 ブラウンズはデザイナー、スタイリスト、詩人、プロデューサー、モデル、活動家らとのクリエイティブなつながりをまとめたコンテンツ「ファミリーアフェア」を創設した。担当チームが選んだクリエイターたちがキュレーターとなって隔週でストーリーを展開し、同社のSNSおよびウェブサイトでコンテンツを特集する。なお、同プログラムの始動者となるのは、詩人で活動家のカイ・アイザイア・ジャマル(Kai-Isaiah Jamal)だ。また同社は、英国ファッション協議会(British Fashion Council)のファッション基金(Fashion Fund)に対する新型コロナ支援を50%追加することも約束している。

3. 「ロエベ」

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下のスペインブランド「ロエベ」は、クラフト(工芸)やイノベーション、芸術的表現に光を当てたインスタライブでのイベント、「ロエベ エン カサ」を開始した。クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のクラフト愛にちなんで、「ロエベ クラフト プライズ(LOEWE CRAFT PRIZE)」のファイナリストらの作品に焦点を当てている。このオンラインコンテンツでは、金細工やテキスタイルアート、生け花に至るまでを紹介する。同プログラムには木工アーティストのジュリアン・ワッツ(Julian Watts)や陶芸彫刻家のイリーナ・ラズモフスカヤ(Irina Razumovskaya)らが登場し、ワークショップやスタジオツアーなども開催される。

4. 「マノロ ブラニク」

 「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」は、ポジティブマインドを保ちながら自宅で創造性を高める事を目的とした「スマイル イニシアチブ」のプログラムを開始した。マノロ・ブラニクによるオリジナルの有名なデザイン画がダウンロード可能となり、色や柄を付けることで自由に楽しむことができる。このプロジェクトでは、英慈善団体、メンタルヘルス財団(Mental Health Foundation)とパートナーシップを結んでいる。

5. イタリア インディペンデント

 メガネ企業のイタリア インディペンデント(ITALIA INDEPENDENT)は、クリエイティブな事業家であり、ファッションアイコンとしても注目を集めるラポ・エルカーン(Lapo Elkann)によって創立された。同社はロックダウン下にある人びとに楽しみや幸せを届けるためのSNSプロジェクト「イタリア フォーエバー」を始動した。同社のインスタグラム公式アカウントでは、有名DJや音楽プロデューサーのステファノ・フォンタナ(Stefano Fontana)らがイタリア音楽のライブビデオを配信する。また、フォンタナと共にエルカーン本人やイタリアの人気芸能人、DJ、ミュージシャンなどのゲストも毎回登場する。

6. 「ジミー チュウ」

 「ジミー チュウ」は「チュウ スケッチ」と題したプロジェクトを発足させ、フォロワーに向けて靴のデザイン画を募った。クリエイティブ・ディレクターのサンドラ・チョイ(Sandra Choi)が選んだ10作品が同ブランドの公式チャンネルで公開され、フォロワーによる投票も行われる。上位5位までに選ばれたデザインはカプセルコレクションとして製作され、収益はジミー チュウ財団(Jimmy Choo Foundation)のチャリティーとして寄付される予定だ。

7. 「ナターシャ ジンコ」

 「ナターシャ ジンコ(NATASHA ZINKO)」は、アップサイクルのスパンデックス製マスクを手作業で製作し、宅配業者のシティスプリント(CITY SPRINT)やCNSで働く最前線の人びとに寄付する。自宅でマスクを作る様子を撮影し、着用法と共に紹介するムービーがインスタグラムに投稿された。マスクは25ポンド(約3350円)で販売もされており、同ブランドのウェブサイトで購入可能だ。売上金の半分は英国の国民保険サービス(National Health Service)の新型コロナウイルス救援基金に寄付される。

8. 「ケンゾー」

 「ケンゾー(KENZO)」とクリエイティブ・ディレクターのフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)は、「ケンゾーとのおうち時間(#stayhomewithKENZO)」と題したインスタライブイベントを開催している。アーティストらによる音楽のプレイリストから始まる同コンテンツは、クリエイティブなキャストらによって交代で配信される。水曜日はクリエイティブな授業形式、金曜日はライブ音楽配信、週末にはチャットも可能だ。

9. 「エレメ」

 中国人デザイナーのジンジン・ファン(Jingjing Fan)によって設立された仏パリを拠点とするアクセサリーブランド「エレメ(ELLEME)」では、アーカイブから人気デザインの“Baozi”を含む20デザインのバッグを25%割引で数量限定販売する。売上高の20%は、最前線で働く医療従事者のためのマスクや手袋、ゴーグルなど個人向け防護具の購入資金に充てられる。

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