ファッション

次世代ソーシャルコマース「パルテ」が目指す「SNSで何でも買える世界」

 「パルテ(PARTE)」は、25~40歳の女性をターゲットとしたファッション特化型のショッピングSNSだ。同サービスは2018年4月にリリース。ユーザーが投稿したコーディネート画像から、気になった着用アイテムをすぐに購入できる仕組みで、現在は合計フォロワー数600万を超える、多数のインフルエンサーもユーザーとして参加している。3月にはパルをはじめとする複数ブランドとの提携のほか、グローバル・ブレインなどを引受先とする1億7500万円の資金調達を発表した。ECとSNSが融合した“ソーシャルコマース”の領域ではZOZOのコーディネートアプリ「WEAR」など、既に先行者がいる中で、後発である「パルテ」はどのように戦っていくつもりなのか。同サービスを運営するREGALIの共同創業者である稲田光一郎代表と北野あゆみ取締役に話を聞いた。

 「パルテ」では、誰でもコーディネートの投稿ができ、その投稿からアイテムの購入が可能だ。投稿の簡便性も特徴で、インスタグラムでの過去の投稿から画像や文章、ハッシュタグの引用が可能なほか、ハッシュタグから着用アイテムを解析し、購入リンクを付けることもできる。稲田代表は「インスタグラムにもショッピング機能はあるが、基本的に個人のアカウントでは販売リンクを紐づけることはできない。そのため、個人の投稿から気になるアイテムを見つけたとしても、ウェブで検索しなければ購入できなかったり、まとめ買いができなかったりと購入へのハードルも高かった」と説明する。

 また、現在投稿者の一部に向けてテスト的に運用している、インセンティブのサービスも特徴的だ。コーディネート内のアイテムの販売リンクにアクセスされるごとに、価格の数パーセントが投稿者側に支払われる仕組みを取っている。「従来のSNSでは、普段はファッション関係の投稿をしているのに、全然関係のないサプリのPR投稿してしまうなど、投稿者側のマネタイズも障壁となっていた」と稲田代表。インセンティブ制の対象となる投稿者の基準について、インフルエンサーへのアプローチなどを主に担当している北野取締役は「『パルテ』のユーザーは主婦が多く、キレイ目カジュアルな服装が人気なため、そういった世界観を実現でき、サービスをしっかりと使ってくれそうか否かを重視してお声がけしている」と説明する。インセンティブ制はインフルエンサーにも好評で、「今まで“いいね!”などでしか自身の影響力の指標が無かったが、どれだけアイテムが売れたかなどで自分の影響力がより明確に分かるようになったという声を頂いている」という。この仕組みがきっかけでユーザー数の増加が加速し、19年10月にはiOS版アプリのダウンロード数は10万を突破。年内には100万ダウンロードを目指す。

 3月にはパルをはじめとする複数のブランドとの提携を発表しているが、具体的には何を行う計画なのか。「『パルテ』経由で商品が売れた段階で、提携先のブランドからは一定額の報酬をもらう。その代わり『パルテ』側からは、サービスを通じた送客のほか、誰のどのようなコーディネートから、どのようなアイテムが売れたのか、このインフルエンサーはどのような商品を売るのが得意なのかといった、ブランドを横断したデータを提供する」と稲田代表。現在は大手企業を中心にアプローチ中で、「自社のECを伸ばしたく、かつインフルエンサーマーケティングうまく行いたいという企業には反応が良い」と手応えを感じているようだ。

 今後は提携企業・ブランドの開拓とサービスの拡充を行っていく計画だ。「ゆくゆくはコスメなど、商品のカテゴリーを拡充させていきたいと思っている。目指しているのは中国のSNS『RED(小紅書)』に近い。インスタでいいな、と思えるものを見つけても、結局グーグルなどで調べることになるのが大半で、現状はいい動線づくりとは言えない。『WEAR』もあくまで『ゾゾタウン』の売り上げを最大化させるサービスで、『ゾゾ』内のアイテムしか購入できない。そうではなく、何でも買えるサービスの方が、ユーザーとしても使いやすいはずだし、『パルテ』が実現していきたい世界だ」。

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