4月22日のアースデー(地球の日)に先立ち、フランス人デザイナーのマリーン・セル(Marine Serre)が、大量生産されたジャカード織りのタオルやビンテージのかぎ針編みのテーブルクロスなど、一度は捨てられたテキスタイルがランウエイのファッションに生まれ変わる様子を動画で伝えた。
自身のユーチューブチャンネルで2分間の動画シリーズを4月16日から公開し、その中で、「マリーン セル」2020年春夏コレクションの製作過程を紹介している。驚くべきは、針と糸を使ったシンプルなものからレーザーやコンピューターを使った複雑なものにまでおよぶ製作方法の幅広さと、人の手がとても多くかけられているということだ。
作業をする人々の顔は映し出されていないが、ラベルの縫い目からとび出た糸を切ったり、積み重ねられた分厚い生地を裁断したり、その機敏な手仕事には感動を覚える。
カメラは、質素で小規模な作業場から広大でハイテクな工場まで、ポルトガルやフランス、イタリアの製作現場を捉えている。巨大な袋いっぱいに詰め込まれているのは、90年代の米国で回収されたデニムや70〜80年代のインテリア生地、シルクのスカーフやデッドストックのレザーなど。これらに手が加えられて再生される。
“再生(Regenerated)”と名付けられたこの動画シリーズは、マリーン・セルのアップサイクルに対する決意そのものを表している。パリで自身のブランドを立ち上げてまだ間もないマリーン・セルが、ごみとなってしまった衣服や生地の多くを生まれ変わらせることに心血を注いでいる姿をうかがい知ることができる。広報担当によると、マリーン・セルのコレクションのおよそ半数がアップサイクルされたものだという。