地球環境について考えるイベント、「アースデー(Earth Day)」が4月22日に米国など世界のさまざまな国や地域で開催される。1970年に米国でスタートしたこの催しは、環境保護に関するものとしては世界最大の規模であり、今年50周年を迎える。通常であれば屋内外の会場に出展エリアが設けられていろいろなイベントが開催されるが、今回は新型コロナウイルスの影響のため全てオンラインで行われる。
「24時間のアクション(24 Hours of Action)」と題されたこのオンラインのイベントでは、例年と同様にコンサートやパネルディスカッションのほか、参加企業による新商品の発表なども行われるが、今回はやや様相が異なるという。
米マーケティング会社イムレ(IMRE)のライアン・ジョーダン(Ryan Jordan)=エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターは、「今年の『アースデー』では、どのようなメッセージを発信するのかをこれまで以上に慎重に考える必要がある。世界が危機的な状況にある中で、消費者は企業に対して以前より厳しい目を向けているからだ。従業員を守るためにできる限りの支援策を打ち出していることを伝えるのもいいと思うし、環境保護に関する取り組みをしている場合はそれについて消費者と対話してもいいだろう。企業として正しい行いをすることは、善行であるばかりでなく、ビジネス上の利点となる」と語った。
近年は環境保護に対する意識が高まっていることもあり、サステナビリティに取り組む企業も増えている。一方で、マーケティングのためにそれらしいことをしているだけの“グリーン・ウオッシュ(見せかけの環境配慮)”なブランドも散見される。「アースデー」をはじめとする環境保護関連のイベントに参加するブランドは、それを記念したカプセルコレクションを発表することもあるだろう。しかし衣料の過剰生産が問題視されていることや、環境保護というよりは宣伝が目的である場合も多いことを考えると、今後は慎重に検討したほうがいいかもしれない。
持続可能なオーガニック素材のみを使用しているアパレル企業、パクト(PACT)のブレンダン・シノット(Brendan Synnott)最高経営責任者は、「カプセルコレクションを成功させるには、環境保護に関する価値観が一致しているメーカーと提携し、サステナビリティに100%本気で取り組まなければならない。サステナブルな商品が全体の5%程度では消費者にそっぽを向かれてしまう。また“グリーン・ウオッシュ”な企業とは距離を置くことも大切だ」と述べた。
ジョーダン=エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターは、「こういう危機的な状況だからこそ、『うちのブランドは消費者にとって“エッセンシャル(必要不可欠)”だろうか?そうだとしたら、その理由は?』と自問してみるべきだ。こうした視点を持つことで、消費者とよりよいコミュニケーションが取れるようになるだろう」と話した。
なお、日本では4月18日と19日に「アースデイ東京 2020(Earth Day Tokyo 2020)」がやはりオンラインで開催され、コンサートやトークプログラムなどが配信された。