新型コロナウイルス感染拡大の影響で在庫を抱えた小売り各社はアパレル商品の値下げを行い、オンラインで販売の促進を図ってきた。その成果もあり、米国やその他主要市場でのアパレル関連商品の4月中旬の週間売上高が前年比で2ケタ増となった。消費者は生活必需品や掃除用品、室内用フィットネス商品の購入を減らして衣服などを購入しているようだ。
エマルシス(EMARSYS)とグッドデータ(GOODDATA)が120カ国以上、4億人の消費者が行う取引について共同調査したデータによると、米国の従来型小売店の4月中旬の週間オンライン売上高は前年同期比18%増だったという。何週間にもわたって売り上げが落ち込む状態が続いていたが、4月初旬にようやく同1%のプラスに転じていたという。米国での4月中旬の1週間の消費者のオンラインでの取引件数は同25%増で、同国のオンライン専門小売店での取引件数は同29%増となり、売上高は同15%増となった。
米国のオンライン売上高の増加について両社のリサーチャーらは、「このような状況下でも、消費者が財布のひもを締めてしまったわけではないことが分かる。それどころか3月末〜4月中旬には、いつもよりラグジュアリー品やファッションアイテムを購入している」と指摘し、「売り上げは激減すると思っていたが、その予想を裏切るかのようなペースで消費者はショッピングを楽しんでいる」と述べた。
米国では当日限定のセールに加えて、4月第2週の週末のイースターホリデーや5月10日の母の日など継続的に値下げセールが行われている。従来型小売店はオンラインで25〜50%の値下げをしており、期間限定セールでは特定の商品などを75%値下げしている。
4月中旬、各社のオンラインストアではセールなどが行われた。例えば、メイシーズ(MACY'S)ではアパレル商品が40%オフとなっており、25ドル(約2680円)以上の購入で配送料が無料となる。コールズ(KOHL'S)では「リーバイス(LEVI'S)」のトップスとボトムスが40%オフとなっているほか、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の一部商品が25〜30%オフとなっている。
一方、ディラーズ(DILLARD'S)では、「DKNY」「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「フリーピープル(FREE PEOPLE)」などのウィメンズアパレルが25〜40%オフとなっているほか、女性用スーツが50%オフとなっている。J.C.ペニー(J.C. PENNEY)では、「リーバイス」が40%オフ、「ナイキ」「アディダス」「チャンピオン(CHAMPION)」のウエア類が25%オフとなっているほか、特定のクリアランス商品が80%オフとなっている。
こうしたセール品が購買意欲を後押ししたと同時に、在庫の一掃にも役立っているようだ。