三陽商会は23日、同社株式の約6%を保有する投資会社アールエムビー・ジャパン・オポチュニティーズファンド, エル・ピー(以下、RMB)から提案を受けた経営陣の刷新案について、反対を表明する書面を出した。RMB側の提案は、20年2月期で4期連続の赤字決算となった三陽商会の経営責任を明確化し、中山雅之社長ら社内取締役の退任を求めるとともに、マッキンゼー出身でカネボウ社長などを務めた小森哲郎氏らを新たに社外取締役として招へいするというもの。
三陽商会はすでに4月14日の決算発表で、5月から三井物産出身でゴールドウインの再建を手掛けた大江伸治副社長を新社長に据え、副社長に退く中山氏とともに2人の代表取締役による「ツートップ」で経営再建に臨むことを表明している。RMBからのトップ人事提案は3月末にあったという。
RMBは社外取締役を含めた現経営陣の退陣を求め、代わりに社外取締役として小森氏、RMBの細水政和氏らを加えた体制への刷新を求めていた。
だが三陽商会側は「(提案された経営体制には)実現可能性のある具体的な経営プランがなく遂行が不可能になる」「候補者は株主(RMB)から事前説明を受けていない」などとして反対。細水氏の就任に対しても、「戦略的パートナーへの当社売却の可能性があり、当社の企業価値向上よりも、買収社の利益を図って行動する恐れがある」と異議を唱えた。その上で「事業改革を断行し、当社の再生をより確実かつ早期に実現していくためには最適」として中山氏らの続投を支持する。
取締役の選任案は、5月26日の株主総会で議決される。今回の三陽商会による反対をRMBが受け入れない場合は、委任状争いに発展する可能性がある。
なお、2期連続で営業キャッシュ・フローがマイナスとなり、資産の減少が続く三陽商会については2月、「RMBによる売却提案があった」という内容の一部報道があったものの、「投資家と協議しているという事実はない」(三陽商会広報)としている。