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ラグジュアリーブランド専門の仏リセールサイトが64億円の資金調達 日本などアジア事業を強化

 ラグジュアリーブランドの古着やグッズを専門に扱うパリ発のリセールサイト「ヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)」は、4億9700万香港ドル(約64億円)の資金を調達したと発表した。

 今回出資したのは、韓国のテック系コングロマリット、ネイバー(NAVER)が出資しているベンチャーキャピタルのコレリア・キャピタル(KORELYA CAPITAL)、英投資会社ヴォルティエ7(VAULTIER7)、仏投資会社キュイール・インベスト(CUIR INVEST)の3社。既存株主である仏投資会社ユーラゼオ(EURAZEO)やコンデナスト(CONDE NAST)、「ヴェスティエール・コレクティブ」のマクシミリアン・ビトナー(Maximilian Bittner)最高経営責任者(CEO)らも追加で出資している。

 「ヴェスティエール・コレクティブ」は専門家による真贋判定を強みに人気を伸ばしており、欧州や米国を中心に世界50カ国で700万のユーザーがいる。同サイトで行われる取引の80%以上がクロスボーダー取引だ。今回調達した資金は、世界最大級の2次流通市場を持つ日本や韓国などアジア地域での事業強化に充てられる。また米国市場でのさらなる成長や、2019年9月に欧州で開始した直送サービスを米国に導入するための費用としても使われる。同社によれば、欧州では取引の50%強が直送サービスで行われており、20年夏には米国で、20年末にはアジア地域で同サービスを開始する予定だという。

 ビトナーCEOは、「新型コロナウイルスの影響によって小売り環境は激変している。どこで買い物をするかだけではなく、何を買うかも大きく変化している。『ヴェスティエール・コレクティブ』はリーマン・ショックなどによって起きた08年の世界金融危機の真っただ中に創設されており、やはり危機的な状況下にある現在も人々の役に立てると思う。所持品を最大限に活用しつつサステナブルな方法でファッションを楽しめるという点でも、リセールは現代のニーズに合っている」と語った。

 今回出資したヴォルティエ7のモンセ・スアレス(Montse Suarez)共同創業者とアナ・スウィーティング(Anna Sweeting)共同創業者は、もともと「ヴェスティエール・コレクティブ」のユーザーだという。両氏は、「新型コロナウイルスの影響で今は多くの投資家が取引を控えているが、『ヴェスティエール・コレクティブ』には絶対に出資するべきだと判断した。事態の収束後、ファッション業界のEC化がさらに進むことは疑いの余地がないし、消費者の“必要以上に物を所有しない”という考え方やサステナビリティに対する意識がいっそう高まると見込んでいるからだ」と説明。「新型コロナウイルスの脅威にさらされたことで、現在のことばかりでなく未来について考えることや、自分だけでなく社会全体に目を向けることの大切さに気づいた人も多い。手持ちのバッグや服といった身近な物をリセールに回すだけで、環境にポジティブな影響を与えられる。このことをより多くの消費者に伝えるサポートができてうれしく思う」と述べた。

 米コンサルティング会社ベイン&カンパニー(BAIN & COMPANY)のリポートによれば、ラグジュアリーグッズの2次流通市場は18年の段階で250億ドル(約2兆6750億円)規模だったが、23年には510億ドル(約5兆4570億円)に達する見込みだという。

 ビトナーCEOは19年3月に、「『ヴェスティエール・コレクティブ』はファッション企業からファッションテック企業へと変わる必要がある。これからはZ世代をメインターゲットに、データやモバイル施策にいっそう注力する」と今後の展望を語っている。

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