イギリスのエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は4月21日、94歳の誕生日を迎えた。女王を象徴するのは、膨大なティアラのコレクション。その多くは100年以上前から英国王室にあり、最もよく着用しているものは祖母から受け継いだ。そして、コレクションの中には、ユージェニー・オブ・ヨーク王女(Princess Eugenie of York)やケンブリッジ公爵婦人キャサリン妃(Duchess of Cambridge, Kate Middleton)といった孫や義孫の結婚式の際に貸し出したものもある。67年に渡る在位の中で着用したティアラの数々を振り返る。
ガールズ・オブ・グレート・ブリテン&アイルランド・ティアラ(Girls of Great Britain and Ireland Tiara)
ガールズ・オブ・グレート・ブリテン&アイルランド・ティアラは、エリザベス女王の着用頻度が高いことで有名だ。もともとは1898年、エリザベス女王の祖母であるメアリー王妃(Queen Mary)の女官が王妃に結婚祝いとして贈ったものだった。その後、1947年にエリザベス女王への結婚祝いとして受け継がれた。結婚式当日は身につけていなかったものの日常的に愛用し、英国と英連邦の紙幣に使われているいくつかの写真でも着用している。
ステイト・ダイアデム(State Diadem)
ステイト・ダイアデムは1821年にジョージ4世(George IV)の戴冠式のために制作されたもの。ジョージ4世の死後、ウィリアム4世(William IV)の子孫であるアデレード王妃(Queen Adelaide)に受け継がれた。以来、女性の君主が身につける伝統になっている。エリザベス女王は1953年に、ウェストミンスター寺院での自身の戴冠式に向かう際に着用。現在も、国会開会式に向かい時に必ず身につけている。中央に飾られた4カラットのイエローダイヤモンドを含む1000個以上のダイヤモンドと約170個ものパールをあしらったデザインが特徴だ。
ブラジリアン・アクアマリン・ティアラ(The Brazilian Aquamarine Tiara)
1953年のエリザベス女王の戴冠式に際し、ブラジルの人々から贈られたダイヤモンドとアクアマリンのイヤリングとレックレスセットに合わせるため、特別に制作したもの。王室御用達のジュエラー、ハウス・オブ・ガラード(House of Garrard)が手掛けた。
サファイア・ティアラ(The Sapphire Tiara)
エリザベス女王の結婚を祝して父のジョージ6世(George VI)が贈ったダイヤモンドとサファイアのイヤリングとネックレスに合わせ、1963年に制作した。
バーミーズ・ルビー・ティアラ(Burmese Ruby Tiara)
1973年にミャンマー(旧ビルマ)の人々から結婚祝いとして贈られたルビーを使い、ハウス・オブ・ガラードに依頼して完成させたティアラ。ハウス・オブ・ガラードによると、ビルマ文化ではルビーには悪と病気から身を守る力があると言われ、ティアラに装飾された96個の貴石には象徴的な意味が込められているという。
また、希少価値の非常に高いそのルビーは、2008年からジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元米大統領によるミャンマーへの制裁の一環として米国への輸入が禁止されていたが、16年にバラク・オバマ(Barack Obama)前米国大統領によって解除されたという歴史がある。こうした背景の中、エリザベス女王が昨年、バッキンガム宮殿で開かれたドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領との晩餐会の際に着用したことは、話題を集めた。