新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛により、自宅で過ごす時間=“おうち時間”をいかに過ごすかが重要となっている。読者の中には、「素敵な映画を見て有意義な時間を過ごしたい」「メジャーな映画も悪くないけど、コアな作品にも触れてみたい」と思う人も多いのではないだろうか?そこで今回は、数々の気鋭監督作を日本に紹介してきたミニシアターの雄、アップリンクの浅井隆代表に自宅で見られるオススメ作品4選をたずねた。同社が提供するビデオオンデマンド(VOD)サービス「アップリンク・クラウド」でも扱っているので、気になった人はチェックしてみよう。
「わたしはロランス」(2012年カナダ、グザヴィエ・ドラン監督)
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浅井隆アップリンク代表(以下、浅井):カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞歴もあるカナダ人監督、グザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan)の作品。女性として生きることを選んだトランスジェンダーの高校教師とそのガールフレンドを軸とする物語なのですが、音楽の入れ方がとにかくカッコイイ。彼の作品をPVのようだと表現する人も多いですが、実は真逆。PVは音に合わせて映像をつける一方、ドランは物語の“ここぞ”という場面に登場人物の感情にリンクした音楽を入れているんです。イヤホンやヘッドホンをつけて、大きめの音で楽しんでほしいですね。
「ガザの美容室」(15年パレスチナ、アラブ・ナサール、タルザン・ナサール監督)
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浅井:映画の舞台は、戦争状態にあるパレスチナ自治区の美容室。女性たちが集い、和やかなムードの美容室が、突如として屋外の戦火に巻き込まれていきます。それでも強く、しなやかに生きる女性の姿は必見です。パレスチナ自治区は戦争で国自体が隔離され、日本は今、新型コロナウイルス感染症で個人と社会が隔離されています。そんな今だからこそ、見る価値があると思います。
「顔たち、ところどころ」(17年仏、アニエス・ヴァルダ、JR監督)
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浅井:映画監督のアニエス・ヴァルダ(Agnes Varda)とアーティストのJRが、旅先で出会った人たちとストリートアートを通して触れ合うドキュメンタリーです。劇中は、知らない人との出会いの連続。でも、気軽に外に出られず、人とのふれあいが少なくなったこのタイミングで見てみると、そういった人との出会いこそ生きていることを実感する瞬間なんだなと思い知らされます。村人たちの写真をとり、それをアートに仕立てていく工程もとっても面白い。見るだけで温かな気持ちになる作品です。
「聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅」(12年独、ヤン・シュミット=ガレ監督)
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浅井:タイトルの通り、近代ヨガのルーツをたどる作品です。“アイアンガーヨガ”のB.K.S.アイアンガー(B.K.S. Iyengar)をはじめ、今のヨガの礎を築いた師匠たちの姿が見られます。在宅時間が増え、ヨガを自宅でやっている人が増えているようですが、実践だけでなく、ヨガのルーツと哲学を映画から学んでみるのも面白いかもしれません。字幕監修は日本ヨガの第一人者、ケン・ハラクマさんが担当しています。