企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はこれまでのポイントを改めて整理する。(この記事はWWDジャパン2020年3月9日号からの抜粋です)
今回はこれまでの11回の連載の中で私が特に伝えたかったことをまとめてみたいと思います。
CHECK POINT1
前年比ばかり見ていませんか?
まず、決算書というと、どうしても単年度の前年比に追われますよね。株価が前年比に左右されるという傾向があるので、ある意味しょうがないんですけれども、そうではないのです。そのビジネスやマーケットについて、もう少し広い視野で、見なくてはいけないんじゃないですかということをお伝えしたかったです。
逸話的な話をすると、2014年に「ユニクロ対ZARA」を書いたときに、すごく印象に残ったことがありました。原稿の締め切り直前にスペインのインディテックス「ザラ」本社を取材できることになり、2000年〜13年ぐらいまでの同社の決算書を読んでから行ったんです。その中で何カ所か減益して、次の年以降、2、3年、伸びるというポイントがいくつかあることに気付きました。例えば欧州の記録的な天候不順であったり、経済危機によって減益になる年があるのですが、その後に必ず浮上するんです。
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