サイバーエージェント(CYBERAGENT)が運営するモデル・インフルエンサー事務所「クープ(COUPE)」に所属するライバーの賢太郎。社会人生活を送りながら趣味でファッションのライブ配信を始め、今や6000人超の視聴者を抱え、LINE LIVEのトップライバーとして活躍し、「クープ」のライバーマネジメント部長も務める。学生のころからファッションに興味を持ち、2021年までに自身のブランドを立ち上げることを目標に日々活動している。そんな賢太郎に、ライブ配信の魅力について聞いた。
WWD:元々はサラリーマンとして日中仕事しながら帰宅後にライブ配信をしていた。きっかけは?
賢太郎:大学を卒業して不動産企業に就職し、営業をしていました。毎日忙しく、休みもほとんど取れなかったですね。そうやって仕事づけの日々が続き、気づけば1年があっという間にたっていました。1年たったくらいのときに、このまま働き続けて幸せなのか?と思うようになったんです。実はファッションブランドをいつか立ち上げたい、という夢を昔から持っていて、このままだとその夢から遠のくと思いました。
WWD:そこからライブ配信をはじめた?
賢太郎:僕は洋服を作る勉強はしていなかったですし、作れる環境にもいない。成功するブランドは、製品力とブランド力のどちらも持っていると思うのですが、まずは自分の“ブランド力”、つまりは認知度をあげることから始めようと思いました。そこでたまたまツイッターでラインライブのことを知り、ユーチューブと違って編集能力やソフト、カメラは不要で、これなら自分もできる!と思い始めてみました。
WWD:どのように視聴者数を伸ばしてきたのか?
賢太郎:最初は何を話せばいいのか分からず、あまり見てくれなかったですね(笑)。アプリが壊れているのか?と思うくらい、最初はなかなか視聴者が集まりませんでした。ただ続けることが大事だと思ったので、最初は毎日3〜4時間ライブ配信をしていました。1回見にきてくれたら抜けられないように、とにかくずっと話していました。すると少しずつ視聴者が増えていき、1週間で200人ほど、半年で1000人到達しました。1000人到達したところで同じくらいの規模のライバーとコラボし、相手ライバーの視聴者にも知ってもらうようにしました。1年たったころにはいまの事務所にスカウトされました。今もほぼ毎日配信続けています。
WWD:普段どのような内容を配信しているのか?
賢太郎:企画もの以外は毎日その日の出来事だったり、たわいない会話が多いですね。視聴者のコメントを返しながら話すので、僕が一方的に話すというより、みんなで一緒に話している感じですね。なので話題を振ったら視聴者も答えやすいことだったり、共感してもらえることを意識的に話しています。これこそ、ライブ配信の魅力の一つなのではないでしょうか?ユーチューブは編集されたコンテンツを一方的に配信するイメージだとしたら、ライブ配信はリアルタイムで話が双方に行くので、視聴者と一緒に作るコンテンツイメージが強いです。だから視聴者から生まれる会話もあるし、視聴者からのアイデアを次の配信で試す・話すと伝えると、大体次の配信もみてくれますね。
WWD:洋服のコーディネートなど、ファッションについても日々配信している。視聴者のほとんどは女性なのでは?
賢太郎:そうですね。なのであえてユニセックスのブランドだったり、オーバーサイズで女性も着られるアイテムを着るようにしています。「ヴァンキッシュ(VANQUISH) 」などの原宿系の服が好きなんですが、元「メンズエッグ」モデルの引地敬澄が手掛ける「キンクロスワールド(KINCROSSWORLD)」とコラボしたアイテムはすぐ完売しました。ちなみに寝る前の配信では「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」を着ています(笑)。
WWD:今ライブ配信の人気が高まっている理由をどうみている?
賢太郎:皆、よりリアルなコンテンツを求めているんじゃないですかね。インスタグラムの写真はいくらだって加工できるし、ユーチューブの動画も編集しているもの。生配信は編集できないのでごまかしが効かないし、視聴者とリアルタイムで会話しているので距離が近いのがいいですよね。ある意味人間味を感じるところが支持されるのだと思います。そして生配信の視聴者は熱心なファンの方が多いですね。他のSNSは“フォローする”ハードルがそこまで高くないですが、ライバーは本当にその人が好きだったり、応援したい気持ちがないとみないですよね。だから商品のプロモーション配信をすると、ほとんどの視聴者が買ってくれます。配信する側も、視聴者による課金を一番多く集めた人が雑誌の表紙を飾れたり、ファッションショーに出られたり、いろいろなメリットがあります。
WWD:新型コロナウイルスの影響は?
賢太郎:視聴者数はかなり伸びています。特にお昼の時間帯は学生の視聴者が激増し、20〜30代の視聴者が多い僕にとっては新しい層にリーチできたと思います。ネガティブなニュースが続きますが、みんなと前向きになれる内容の配信を意識しています。
WWD:21年までにブランドを立ち上げる目標を立てている。
賢太郎:僕が28歳になるまでにブランドを立ち上げたいですね。アパレル業界で働く友人にいろいろ教えてもらいながら、着々と準備を進めています。後はライブ配信も今年(4月)で4年目になるので、さらに自分のチャンネルを成長させたいです。