緊急事態宣言の延長に伴い、引き続きリモートワークを行う企業は多いでしょう。香りで気分をリフレッシュさせるアイデアはこれまでにもお伝えしましたが、今回はアロマテラピーでおなじみの精油と、“在宅勤務のオン・オフ”にクローズアップします。植物のパワーを凝縮した精油は鎮静や賦活などさまざまな作用を持つ成分で構成されていて、自律神経のバランス調整や “心のスイッチ”の切り替えに大活躍。お気に入りの香りや目的に合わせた精油を数本揃えておくだけで、手軽に気分転換ができるのです。「誘惑や雑音が多くて集中できない」「仕事を終えても落ち着かない」などの悩みを持つ人は、精油の力を取り入れてみて。
仕事モードに切り替える時は
日本アロマテラピー環境協会(以下、AEAJ)が仕事に入る前のスイッチ精油として推奨しているのが、心身を活動モードにする“交感神経”を優位にすることが実験で確認されているグレープフルーツ精油やローズマリー精油。特に樟脳のような刺激的な香りがするローズマリーは、集中力と記憶力を高める頭脳明晰化作用があると言われています。ローズマリー精油は産地によって成分が異なるためいくつか種類がありますが、「ローズマリー・シネオール」が扱いやすくておすすめです。香りの刺激に弱い人は、精油を香らせながら小学生が100マス計算を行ったら誤答率が下がったという研究結果が出ているペパーミントやスイートオレンジも良いでしょう。
プライベートモードに切り替える時は
仕事終了後に大切なのは、自律神経をリラックスモードの副交感神経に切り替えること。また、精神的な緊張感は筋肉も緊張させる上に、長時間のデスクワークや運動不足により血行が悪くなると、肩こりや腰痛が起こりやすくなります。パソコンを閉じてデスクを離れたら、リラックスできる香りを取り入れると良いでしょう。
リラックスはアロマテラピーの得意とするジャンルです。心身を穏やかにする作用を持つ精油はカモミールローマン、スイートマジョラム、ゼラニウムなど多数あります。“疲れた心を癒やす“といわれるプチグレンやクラリセージ、寝付けない夜にも良いとされるラベンダーやベルガモットなど、それぞれの精油が持つ特徴と好みの香りを照らし合わせて選んでも良いでしょう。AEAJはリラックスモードへと導く精油として、ネロリやラベンダーなどを挙げています。
ディフューザーがなくても香りを楽しむ方法
精油の香りをアロマデフィーザーやアロマランプで部屋全体に広がるのも良いですが、仕事中ならば、ティッシュに精油を1~2滴垂らし、デスクに置いておくだけでもOK。一気に気持ちを切り替えたい時は、沸騰したお湯を注いだマグカップに精油を1~2滴垂らして、蒸気とともに香りを立ち上げる方法もあります。リラックスしたい時はバスタイムを活用し、浴槽のお湯に3~5滴入れたり、湯を流して温めた浴室の床に数滴垂らしたりする方法もおすすめです。また、天然塩大さじ1杯に対し精油1~5滴の割合でアロマバスソルトを作れば、香りと塩の力で心身共にスッキリできますが、中には日光に当たると皮膚に炎症を起こす可能性(光毒性)がある精油もあるので、朝風呂派はご注意を。
ちなみに、精油は高濃度の植物成分でできているため、皮膚への直接塗布や飲用は厳禁で、同じ部屋に6カ月未満乳児がいる場合は使わない方が良いとされています。そのほか、妊娠中の人は使わない方が良い精油もあるため、それぞれの精油の特徴については事前確認を行ってください。