環境保存団体「ワイルドエイド(WILDAID)」は、認定特定非営利法人「アフリカゾウの涙」と共に、日本の象牙市場封鎖を後押しすることを目的にした“#REDonNOSE”運動をスタートさせた。キービジュアルには、このほど「ワイルドエイド」のアンバサダーに就任したタレントのベッキーと妹でダンサーのジェシカを起用した。
野生のアフリカゾウはこの100年で3%にまで減少している。象牙の需要を満たすためだけに15分に1頭というペースで何万頭も殺されてきており、このままでは10年以内にアフリカゾウは絶滅するという。当時、象牙の消費大国であった中国や香港も2018年までには象牙の国内取引をやめるなど、世界中で象牙販売禁止の機運が高まる中、日本では20年の現在でも国内取引が行われており、今や“世界最大級の象牙販売国”となっているという。しかも、日本で取引される象牙の80%が印鑑に使用される。そのため、何気なく消費されており、アフリカゾウの危機についてはほとんど認知されていないのが現状だ。
“#REDonNOSE”では、ベッキーとジェシカの鼻の上にゾウの血と印鑑の朱肉をイメージした赤色のラインを引き、“#私は象牙を選ばない”宣言をしている。日本国内における象牙販売を止めるために賛同した2人に心境を聞いた。
WWD:あらためて、‟#REDonNOSE”運動のどのようなところに共感して参加したのですか?
ベッキー:幼いころから象牙の印鑑があることは知っていて、「ゾウさん、大丈夫なのかな」と思っていたのですが、インターネットを使うようになって、象牙が取られている経緯を知りました。私の中で印鑑はいくらでも代わりになる素材があるのに、どうしてゾウの命が奪われなくちゃいけないんだろうという疑問はずっとあったんです。そんなときにお話をいただいたので、私としては引き受けたというよりは「待ってました」という感覚でした。
ジェシカ:私は34歳にして初めてこの現実を知ったんです。「アフリカゾウの涙」というコマーシャルを見たときにすごく衝撃を受けて……。本当に小さな象牙のために1頭が殺されてしまうという現実を知りました。この現実を私なりにシェアすることでたくさんの人に知ってもらいたいと思ったんです。
WWD:ファッション業界では、毛皮やエキゾチックレザーの使用をやめる動きも目立ちます。象牙は日本では、いまだに世界最大の合法マーケットになっているとのことですが、そうならないためにそれぞれが何をしていくべきだと思いますか?
ベッキー:まず、この現実を知らない人があまりにも多すぎます。象牙の印鑑は運気がよさそう、ハイクラス、いい契約を結べそうと、まるでいい事みたいに思われているから、その裏側で起きていることを知るべきだと思います。そのために、私たち表に出る人たちが発信していくとか、活動を続けていくことが大事です。
ジェシカ:姉と同じですが、まずは発信していくこと。私は当時、CMを一つ見ただけで、印鑑を買いに行ったときには絶対に象牙は選ばないという気持ちに変わりました。売られている以上、押し付けることはできないけど、伝えていくことはできると思っています。
WWD:プライベートでもお仕事でも多くの動物と関わってきたと思います。動物とのエピソードを教えてください。
ベッキー:これまでイヌ、ネコ、ハリネズミ、サル、ウサギなどたくさんの動物を飼ってきましたが、動物と一緒にいると優しい気持ちになれたり、救われることも多いです。アフリカゾウのことも遠い国の話じゃなくて、自分が愛しているペットと同じように、「アフリカゾウにも家族がいるんだよね」と思いを馳せることが大事だと思います。
ジェシカ:イヌとネコはペットというイメージがあると思います。小さい頃からたくさんの動物を飼っていて、一番ハッとしたのが、カメを飼い始めたときなんです。はじめは正直、カメなんて感情もないだろうし、懐かないんじゃないかと思っていたら、どんな動物でも心があって、こんなにいとおしい、かわいいんだということに気付きました。地球環境にしても自分の家の中では空気清浄機を付けるのに、地球ってなると誰かやってくれるだろうという意識になってしまいます。ペットのことも、遠い国のことも同じように、一人一人が地球全体で考える意識を持つことが必要だと思います。