新型コロナウイルス流行の影響で多くの店舗がクローズし、ECが伸びているのは周知の通りだが、下着やルームウエアにもその動きが顕著に表れている。自宅で過ごすのに楽なノンワイヤーブラやハーフトップを選ぶ女性が多い。
リラックス感のあるブラジャーの代表格ともいえる「ワコール(WACOAL)」の“ゴゴチ”は、ワコールウェブストアでの4月1〜21日の売り上げが前年同期比2.4倍と好調。東京都知事が週末の外出自粛を要請した3月25日の翌日は、ワコールウェブストアで“ゴゴチ”シリーズの売り上げが前年同日比4倍以上、27日は6倍以上を記録した。緊急事態宣言が発令された4月7日の翌日は7倍以上と記録的な数字になった。このように、消費者のマインドの変化が日々の売り上げの推移に如実に表れている。ワコールウェブストアでは、「ウンナナクール(UNE NANA COOL)」の売り上げも絶好調。
快適な下着のイメージが定着しているトリンプ・インターナショナル・ジャパンが展開する「スロギー(SLOGGI)」も、公式オンラインストアの3月の売り上げが前月比の約2倍だ。
以前から好調だった就寝時用のブラジャーも人気で、ワコールウェブストアでは“ナイトアップブラ”の売り上げが急伸長している。「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」の“ナイトブラ”も好調だ。「ワコール」の“ナイトビージェル”や「ピーチ・ジョン」の“ボムバストクリーム リッチ”などバストケアアイテムの売り上げがともに伸長している。自宅で過ごす時間が長くなり、巣ごもりボディーケアの需要によるものだろう。
オンライン飲み会で
“見せるルームウエア”が人気
ルームウエアは巣ごもり消費の代表的な商材で、各ブランド好調だ。ルームウエアはもちろんのこと、ベッドリネンやトラベルグッズなども展開するライフスタイルブランドの「プライベート・スプーンズ・クラブ(PRIV. SPOONS CLUB)」は、4月1〜15日の売り上げが前年同期比の約3倍だった。同ブランドの実店舗は都内2店舗で休業中だが、蜷川実花やディズニーとのコラボ商品の後押しもあり、売り上げをECで補っている。
オンライン飲み会などによる“見せるルームウエア”の需要が高まっており、「ピーチ・ジョン」は4月1〜15日のルームウエアの売り上げは前年同期比2倍、「キッドブルー(KID BLUE)」の4月6〜12日は前年同期比2.5倍といずれも好調で、目的買いも多いという。
「ジーユー(GU)」では、4月6〜12日のキッズ用ルームウエアの売り上げが前年同期比4倍になった。価格の見直しを行ったことも好調の要因だが、休校などで子どもが家で過ごす時間が増えたためと思われる。
巣ごもり生活が長引き、各社SNSなどを使った販促に力を入れている。ナイトブラとバストケアコスメのセット販売や“見せるルームウエア”など新たな消費の傾向に着目しつつ、新型コロナ終息後における需要の掘り起こしが必要となるだろう。
川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身