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パリの大型素材見本市、9月開催実行を表明 中止の場合は返金

 パリの大型素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION以下、PV))は、9月15〜17日の同見本市を従来のスケジュール通りに行うと発表した。PVは50カ国から約2000社が出展し、世界110カ国から約6万人の業界関係者が来場する、最も重要なファッション素材の見本市の一つ。新型コロナウイルスの感染拡大による世界のアパレル産業の混乱が続く中、開催実行を表明することで混乱の収束につなげる狙いがある。出展条件の緩和や来場者の無料化、中止の場合の返金など、アパレル産業全体への支援も盛り込む。

 6月10~11日にミラノで開催予定だったデニム素材に特化したサテライト展「デニム・プルミエール・ヴィジョン」と7月1~2日にパリで開催予定だったプレ・コレクション向けのサテライト展「ブロッサム・プルミエール・ヴィジョン」は中止する一方で、9月のパリ展に集約。出展企業の声を受けて、可能な限り遅く出展申し込みが行えるようにした。また、8月31日までに申し込めば入場希望者は無料にする。

 加えて出展企業のコレクションを集めたBtoBのeコマースプラットフォーム「プルミエール・ヴィジョン・マーケットプレイス(PREMIERE VISION MARCKET PLACE以下、マーケットプレイス)」のデジタルサービスを5月中旬から無償化し、当面の間、追加費用や出品点数の制限なしで利用できるようにする。加えて、これまで約12か国で出展社向けに行っていた新シーズンのトレンドカラーや素材、インスピレーションなどの方向性を示すミーティングを取り止め、デジタルツールを活用して発信していく。また、次回の会期では多様化したツールを用いて、会場のトレンドエリアに展示される素材やモード情報、トレンドセミナーやカンファレンスもオンラインで見ることができるようにしたい意向だ。

 ジル・ラスボルド(Gilles Lasbordes)PVゼネラルマネジャーはコメントを発表した。

 「われわれは、厳しい影響を及ぼすこの危機からの脱却に向け、ファッション業界やアパレルブランドとともに活動していきたい。マーケットへの具体的なサポートを示すため、全ての可能な選択肢を検討した。その一方で、深刻なまでに影響を受けたケースもある経済活動を再始動するため、企業が互いに助け合うことをあらためて切実に求めるだろうと考える。もちろん、衛生管理には厳格に努めなければならない。その一方で、クリエイティブなサポートを維持するため、われわれは迅速に出展企業へ提供されるモード情報のデジタル化を決定した。9月を見通してさらに推し進める予定だ。3月中旬にはすでに出展企業に対して『マーケットプレイス』上への無制限の素材掲載を無償化した。これは、出展企業がクライアントとコンタクトを取り続け、サンプル注文やその後の本発注を受け付けることができるようにするためである。

 最後に、『プルミエール・ヴィジョン・パリ』に関しては、出展申込期限を可能な限り後ろ倒しにして条件を緩和した。われわれはすでに、行政の開催禁止命令によって万が一見本市が中止となった場合も、100%のリスクを引き受けることを決定している。PVチーム一同は、姿を見せた新たな脅威に立ち向かうため、業界とは利害を完全に共有している」。

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