イタリア・ファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana 以下、CNMI)は7月14〜17日に、初のミラノ・デジタル・ファッション・ウイークを開催する。参加ブランドは、2021年春夏メンズ・コレクションやウィメンズ&メンズの21年プレ・スプリング・コレクションを披露する予定。CNMIの公式ウェブサイトやインスタグラム(INSTAGRAM)、フェイスブック(FACEBOOK)などのデジタルプラットフォームを駆使して幅広い層にアピールする。
イタリアでは5月4日からロックダウン(都市封鎖)が段階的に緩和され、製造業や建設業、BtoBビジネスなどが再開した。カルロ・カパサ(Carlo Capasa)CNMI会長は、「当初の計画では6月中旬に(デジタル・ファッション・ウイークを)開催する予定だったが、まだ(ブランドは)生産を再開したばかり。コレクションが完成するのは7月第2週ごろになるため、タイミングが合わなかった」と話す。また、初のデジタル・ファッション・ウイークについては、公式スケジュールによって時間帯を割り振られた各ブランドが「映像や無観客ショー、広告キャンペーン撮影の舞台裏、インタビューなどさまざまな形式で発表を行う。ウィメンズのプレ・スプリングを披露するブランドもあれば、メンズのプレ・スプリングや春夏コレクションを見せるブランドもある。これは、新型コロナウイルスにより加速した業界の変化の一部。私たちは協会として、そのための舞台を提供する」と説明。さらに、ウェビナー(ウェブセミナー)や業界のキーパーソンによるプレゼンテーションのライブ配信、エンターテインメントやライブパフォーマンスも企画するほか、プラットフォーム上にショールームに特化したセクションも設ける計画だ。
同ファッション・ウイークには、すでに7月に“フィジタル(フィジカルとデジタルを合わせた造語)”形式で21年春夏コレクションを披露することを発表した「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」などのビッグブランドも参加予定。加えて、喫緊の課題となっている若手デザイナー支援のため、CNMIは彼らにデジタルコンテンツの制作資金を提供する。
なおCNMIは3月末、新型コロナの流行を鑑みて6月19〜23日に予定していた21年春夏ミラノ・メンズ・ファッション・ウイークを延期し、9月22〜28日のウィメンズ・ファッション・ウイークと同時開催することを発表した。カパサ会長はこの計画に変更はないとし、「7月にデジタルで発表するブランドが、9月に物理的なイベントを行うこともあり得る」とコメント。パンデミックによる不確実性について触れつつ、「私たちはそれぞれのブランドに決断の自由を与えているが、これは時代を反映したもの。今、確固たる戦略を決めるのは非常に難しい」と話す。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員