「レブロン(REVLON)」は、元・少女時代のK-POPスター、ジェシカ・チョン(Jessica Jung)をグローバル・ブランド・アンバサダーとして起用する。今後ジェシカは、「スーパー ラストラス」や「カラー ステイ」シリーズのほか、この秋発売のパーマネントやヘアカラーのライン「トータルカラー」のキャンペーンに登場する予定だ。
起用に際してシルビア・ガルフォ(Silvia Galfo)=レブロン グローバルブランド・プレジデントは「私たちは常にインクルージョン(包摂・包括性)やダイバーシティーをうたってきた。しかしアジアのブランドアンバサダーがいなかった」と述べた。国際的に知名度のあるジェシカは、グループから独立した経緯も含めて若い女性の共感を得る存在になると期待しているという。
「レブロン」は、2018年1月より展開している「LIVE BOLDLY-大胆に生きる」キャンペーンで、肌・髪・目の色、体形、国籍にかかわらず自分らしく生きる女性たちをブランドアンバサダーとして起用している。19年には、アジアパシフィックのアンバサダーにモデル・アーティスト・女優として活躍するローレン・サイ(Lauren Tsai)が就任した。
同社が中国市場で販売するのは、営業不振で14年に撤退して以来2度目だ。昨年秋から人気商品に絞った試験販売をしており、「スーパー ラストラス リプスティック」や「カラーステイ ファウンデーション」などは中国でも好調という結果が出た。特に中国における口紅の需要は大きく、販売も伸びている。
今回、試験販売期間の結果を受け、5月から中国とその他のアジア諸国での販売促進を狙って中国の大手ECモールである、「Tモール(T MALL)」で全商品を取り扱うことが決定した。「カラーステイ ルックブックパレット」「ウルトラ HD コレクション」「スーパー ラストラス リプスティック マット」に加えて、その他の商品も夏までに発売する。
ガルフォ=プレジデントは「日々進化している消費者にとって、自己表現とエンパワーメントを代表する『レブロン』はぴったりの存在だ」と考えており、中国が最大市場のアメリカに次ぐ市場になる可能性を示唆した。
美容への関心が比較的高い消費者を持つ中国は、多くの企業にとって重要な成長市場だ。同社は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、欧米のラグジュアリーブランドの化粧品を使用していた中国の若者層が以前と同じく興味を持つかどうかを懸念しているものの、「レブロン」の低価格商品は魅力的に映るはずだと考えている。また、自国アメリカでは若い消費者層を維持するのに苦戦したが、ブランドがアメリカ発であることは中国では強みになると期待する。“アメリカ発のクールな空気感”を届けることを狙う。
実際、今年初めは停滞していたものの中国での業績は回復し始めている。特にオンラインが伸びてきているという。「中国ではマスク文化が根付いているので、アイメイクとベースメイクへの関心が高めだ」とガルフォ=プレジデントは語る。
米市場調査会社エヌピーディー・グループ(NPD GROUP)によると、新型コロナ感染拡大を受けて米プレステージ化粧品市場の売上高は第1四半期で14%減少し、苦戦を強いられている。一方中国では、消費者がインフルエンサーなどによるライブ配信から購入に至るケースが多く、その傾向を生かして売り上げの減少を抑えている。「レブロン」は最近、中国で“リップスティック キング”として知られる美容インフルエンサーの李佳琦(Li Jiaqi)とコラボレーションして「スーパー ラストラス」シリーズを紹介した。その影響は大きく、売り上げに貢献したという。
今年4月には化粧品ブランド「クリニーク(CLINIQUE)」もアジア太平洋地域におけるブランドアンバサダーとしてK-POPグループ、レッド・ベルベット(RED VELVET)のアイリーン(Irene)を起用すると発表した。K-POPスターの活躍が際立って見られる。