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「コーチ」親会社が赤字700億円超 新型コロナによる店舗休業で

 「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」などを傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)の2020年1〜3月期(第3四半期)決算は、前期比19.5%減の10億7000万ドル(約1134億円)、純損益は前期の1億1700万ドル(約124億円)の利益から、6億7700万ドル(約717億円)の赤字となった。

 ジデ・ザイトリン(Jide Zeitlin)=タペストリー会長兼最高経営責任者(CEO)は、「今年は非常に厳しい状況での出だしとなった。新型コロナウイルスのパンデミックで大きな打撃を被った。前代未聞の危機の中で、企業としての価値を見失わずに今後も従業員とその家族、そして私たちの顧客を最優先にし続ける。流動性資金の保持と資金調達に注力することで企業としての力を付け、早急に適応していく。当社では新型コロナの危機に陥る以前から新しいスタイルの働き方を推進してきた。とりわけデジタル面での成長は著しく、より能率化したデータ駆動型の組織を作っていきたい」との声明を発表した。

 ブランド別では、「コーチ」の売上高が同20%減の7億7200万ドル(約818億円)。「ケイト・スペード ニューヨーク」が同11.2%減の2億4950万ドル(約264億円)、「スチュアート・ワイツマン」が同40.5%減の5070億ドル(約53億円)だった。「ケイト・スペード」と「スチュアート・ワイツマン」はそれぞれ9130万ドル(約96億円)と5億3070万ドル(約562億円)の営業損失を計上した。

 米国の多くの小売業者と同様に、タペストリーの傘下ブランドも新型コロナの感染拡大に歯止めをかけるべく北米の全店舗で営業を一時的に停止している。同社は当初、米国の店舗の休業期間を2週間または3月27日ごろまでとしていたが、結果的に休業期間は延長された。また、新型コロナの感染拡大が発覚して間もない1月の時点で該当地域の9割の店舗の営業を停止しており、世界全体の店舗を総合的に見ると休業期間は数カ月に及ぶ。

 ザイトリンCEOは、「今回の危機はこの100年間で類を見ないものだ。影響を受けない企業はない。状況がもとに戻ったときにタペストリーが強い企業であるためにも、積極的にアクションを起こしていく。傘下の有力ブランドには消費者との深いつながりや国際的に成功しているブランドとしての長い歴史があり、マクロ的な経済ショックも経験済みだ。しかも、当社のバランスシート(貸借対照表)は強い。卸売関連企業との関わりは限定的に抑えており、サプライチェーンも多様化されていてさまざまなチャネルの国際的な供給モデルから利益を得ている」とコメントした。

 4月の半ばからは中国と韓国のほとんどの店舗で営業を再開し、現在はドイツとオーストリアの5店舗やオーストラリアの12店舗でも営業を再開している。

 なお北米では、5月1日から約40店舗で営業を段階的に再開する。各店舗の通常営業の再開日時は、従業員に配慮した上で消費者のニーズに合わせて店舗ごとに決定され、当面の間は店舗の消毒や従業員の体温測定、ソーシャル・ディスタンスの徹底などウイルスの感染拡大に配慮した形で営業を行う。

 通常営業の停止期間中はオンライン上で販売員による商品購入サポートを提供し、米国の10州の店舗ではドライブスルー形式の店頭受け取りサービスも行っていた。オンラインビジネスによって多少の収益は得られたが、店舗休業による損失をカバーするには十分でない。こうした中で実店舗とデジタル販売のバランスには変化が見られ、今後はデジタルの比重が大きくなる見込みだ。しかし、実店舗は同社にとっても消費者にとっても大きな存在であることに変わりはないという。

 また、新型コロナの感染拡大とともに同社の株価も下落している。こうした動きを抑制するため、新店舗オープンの中止や延期、在庫の縮小、外部サービスの利用限定や賃料の値下げ交渉などを実施して経費や設備投資を削減し、株式配当金の保留なども行う。

 さらに同社は4月初旬に、全3ブランドでおよそ2100人の販売員を一時解雇することも明らかにした。一時解雇の対象となった従業員には1000ドル(約10万6000円)の小切手が支給された。これにより、次の四半期には5500万ドル(約58億円)から7500万ドル(約79億円)の経費が計上される。

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