染色加工大手の小松マテーレの2020年3月期決算は、売上高が前期比6.5%減の365億円、営業利益が同25.5%減の16億円、経常利益が同22.5%減の21億円、純利益が同35.5%減の13億円で、3期ぶりの減収、6期ぶりの減益だった。新型コロナウイルスの影響による減収は、売上高では20億1000万円、営業利益では6億900万円だった。同社は新型コロナの感染者が出たため、3月2日から自主的に2週間事業停止していた。中山賢一会長兼社長は「安全を最優先して自主的に事業を停止するという経営判断は、取引先をはじめ多くの方々からご支持いただくと同時に、事業活動の応援にもつながった」とウェブで配信した決算会見で語った。
セグメント別の衣料・ファブリック部門は同2.1%減の251億円だった。分野別では、ファッション分野は欧州向け国内向けのラグジュアリーは堅調に推移するも欧州アッパーミドル向けが減少し、2.3%減の147億円、民族衣装分野は計画通りに推移し同10.3%増の45億円、スポーツ・機能分野は海外向けスポーツとユニホームが減少して同9.5%減の58億円だった。
今後は、ビジネス環境の変化に呼応して、EC事業とヘルスケア事業をはじめとする新事業の創設・拡大により販売力強化を目指す。EC事業では、BtoBメーカーとしての事業展開に加え、BtoCモデルの導入も予定する。ヘルスケア事業では3月にウイルスの活動を抑制するマスクインナーを開発しており、今後は同技術を使った生活資材、病院介護用資材(シーツ、枕カバー、カーテン)、マスク、車両内装材、インテリア関連、ユニフォーム衣料などに用途を広げ、3年で10億円の販売を予定している。
2021年3月期の通期見通しは新型コロナにより未公表で、上期(4〜9月)のみを公表。4〜9月期の売上高は前期比11.1%減の163億円、営業利益は同34.5%減の5億円、経常利益が同23.5%減の8億円、純利益が同14.5%減の5億円を見込む。