ユナイテッドアローズ(UA)は2023年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画を発表した。10年後にありたい姿を“ライフスタイルにかかわる商品・サービス全般を提供する企業へ進化”と定め、これを実現するために「国内アパレル事業のシェア拡大成長」「グローバルへの事業展開」「ライフスタイル全般における新たなドメインの拡大」の3つの柱を策定した。新中期経営計画では“Change and Challenge”の基本方針のもと、事業戦略と機能戦略の2軸を推進していく。
事業戦略は、“持続的な成長基盤の強化と顧客創造”をキーコンセプトに“既存事業の安定成長継続”と“新規事業創出の挑戦”を掲げる。“既存事業の安定成長継続”においては、ユナイテッドアローズが展開する3つのマーケット(トレンドマーケット、ミッドトレンドマーケット、ニュートレンドマーケット)に沿った成長を目指す。トレンドマーケットは引き続きネット通販の成長拡大、「スティーブンアラン(STEVEN ALAN)」や「ロク(ROKU)」「ロエフ(LOEFF)」「イウエン マトフ(AEWEN MATOPH)」などのSBU(小型事業)とウィメンズストアの出店拡大を図る。ミッドトレンドマーケットも引き続きネット通販の成長拡大を目指すほか、オンオフ兼用商材やカジュアル分野、「ザ ステーション ストア(THE STATION STORE)」などのウィメンズ小型事業を強化する。ニュートレンドマーケットは「コーエン(COEN)」の店舗数を純増させる見通し。定価販売比率の改善や坪効率の向上などで、業容拡大と収益性の改善の両立を図る。
“新規事業創出の挑戦”においては、海外展開を視野に入れたSPA型の新規大型事業開発に着手。来期中のブランドデビューを目指す。また、既存のアパレル事業を主体に中国市場への本格進出も狙う。まずは来期中に、「コーエン」と「グリーンレーベル リラクシング(GREEN LABEL RELAXING)」の実店舗を出店予定。全事業の越境ECを開設し、出店を開始するタイミングで順次ローカルECに切り替えていく。さらにライフスタイル事業での非衣料品分野進出に再挑戦する。この分野におけるM&Aや資本業務提携についても検討中だ。
機能戦略は、“時代対応した仕組み化と生産性向上”をキーコンセプトに、“OMO推進”“業務改革”“人事改革”“経営基盤改革”の4つの戦略を推進する。“OMO推進”では、商品取り寄せや購入決済などでのオンラインとオフラインを融合したさまざまな購買パターンの実現、スマホアプリ刷新によるモバイル購買体験の活性化、店舗・EC相互のデータを活用した店舗接客アプリの導入など、新しい仕組みの展開を予定する。“業務改革”では、最適なサプライチェーン実現に向けた業務プロセス、オペレーション、システムの再構築に向けて、本部を中心とした業務改革を進める。“人事改革”ではエンゲージ向上策の推進による人材の維持・確保と安定的な採用の実現を目指す。また、タレントマネジメントシステムを導入し、社員の個を尊重した適材適所な人材配置や適切な人材育成などに生かしていく。“経営基盤改革”においては、グループ経営基盤の適正化や不採算取り組みの見極め、オフィス環境の整備などを進めていく。
事業の成長拡大や不採算取り組みの見極め、機能戦略推進などにより、中期最終年度の連結営業利益90億~100億円を目指す。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に対する短期的な対応については中期戦略に含まれておらず、今期は新型コロナによるマイナスインパクトをできる限り抑制し、企業を存続させることを大前提に経営を推進しながら、中長期的な成長拡大に向けた取り組みも持続的に行っていくとした。数値目標についても新型コロナのマイナス影響が21年3月期中に終息することを前提に策定している。