新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。今回は「オーラリー(AURALEE)」の岩井良太デザイナーが、顧客から母校の学生まで、ファッションを愛する全ての人を思う言葉を紹介する。
AURALEE
岩井良太デザイナー
Q.今、デザイナーができることは?
A.僕たちには洋服を作ることしかできない。医療系で直接役に立つことはできないし、洋服が今一番必要なわけでもない。でも自分自身、人と会う機会が減り自宅で過ごす時間が増えても、やっぱり気に入っている服を着て過ごしたいと思うし、好きな服を着たら少し気分が上がる。洋服は、人に見せたりSNSにアップしたりするためだけでなく、自分自身のために着るもの。そんな風に感じる人が僕以外にもいるはずだ。だからこんな状況でも今まで通りに、服を通して人の心を明るくし、ワクワクさせたり、ささやかな高揚感を与えられたりするのが僕たちデザイナーの仕事だ。
【自社での動き】
インスタグラムの公式アカウントでスポティファイ(SPOTIFY)のプレイリストを週1回ペースで作成して公開したり、商品のディテールや取り扱い店を案内する期間限定のインスタグラムアカウントを開設したりと、顧客にデジタルでコレクションの世界観を伝える取り組みを開始した。また母校である文化服装学院の学生をサポートするために、生地の試作品や残反を寄付する準備も進めているという。