ワールドは、新型コロナウイルスへの今後の対応策として、2020-21年秋冬の在庫量を例年より約30%圧縮する。6月に新社長に就任する鈴木信輝専務が、同社20年3月期決算会見(5月8日)で方針を示した。
4月30日時点で、百貨店・SCなどの商業施設の休業により、同社のブランド事業は全体の9割に当たる2227店舗を休業している。この影響を見込んだ今期の業績予想(国際会計基準)は、コア営業損益が52億円の赤字(20年3月期は130億円の黒字)に転落するという厳しい見通しだ。
「(新型コロナによる)危機的状況を乗り越えるために、今期はヒト・モノ・カネのコントロールに全社で取り組む」(鈴木専務)。春夏の在庫がだぶつき、市場環境が見通せない中で、在庫リスク軽減のために「モノ」のコントロールを最優先として取り組む。
20-21年秋冬は在庫を圧縮する一方、消費者の需要に機敏に対応できる体制を整える。生産リードタイムの圧縮により、商品の企画から投入までのスピードを早める。デジタルを活用し、店頭在庫の消化や商品開発過程などのモニタリングも強化する。
オーバーフローしている春夏在庫については、「(在庫の)緊急退避先は確保済み」という。今後の消費環境の変化を見極めつつ、「複数の消化販路拡大の準備を進める」とする。
そのほか、「ヒト」や「カネ」のコントロールとして店舗改装や出店計画などの見直し、採用活動の凍結や役員報酬の減額などを打ち出した。