三陽商会は5月26日付で三井物産出身の大江伸治氏が新社長に就任する。同社は2015年6月に屋台骨だった「バーバリー」との契約が終了して以降、4期連続の営業赤字に沈む。かつて業績不振に苦しんでいたゴールドウインをV字回復させた大江氏。何度も再建計画を作り直したものの、浮上できない名門アパレルをどのように導くのか。(この記事はWWDジャパン2020年5月11日号からの抜粋です)
WWDジャパン(以下、WWD):社長就任に至るまでの経緯は?
大江伸治・次期社長(以下、大江):昨年末に三陽商会の大株主である三井物産から打診があった。僕のこれまでの50年のキャリア、特にゴールドウインでのBPR(事業構造の再設計)の経験が生かせる。(72歳という)年齢も考えたが、まだエネルギーを使い切った感覚はない。ある意味、天命だと思った。三陽商会は今は苦境だが、持っている商品力やブランド価値は高い。あらゆるデータを見て再生できると確信し、引き受けた。
WWD:ゴールドウイン再建で生かせる経験とは?
大江:発注流動管理にまつわる課題は共通している。ゴールドウインの場合、私が着任した2007年当時はスポーツ専門店への卸の比重が高かった。商品投入がイコール売り上げ。だから売上高を作るため無理やり投入量を増やす。この手法から抜け出せず、過剰仕入れ、過剰投入が慢性化していた。商品の消化率、特にプロパー(正価)販売の比率が下がり続け、粗利益率が悪化した。これを改めることが再建のキモだった。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。