旭化成の繊維事業を含むパフォーマンスプロダクツ事業は、2020年3月期の売上高が前期比4.6%減の4361億円、営業利益が同28.8%減の377億円の減収減益となった。
衣料分野の業績について同社は、「暖冬や新型コロナウイルスの影響を受けて昨年度を多少下回り、中でもレッグ向けや裏地が苦戦した。クライアントからはエコを意識した声を多数いただいており、サステナビリティの意識の高まりは当社にとって追い風になると考えている。特に海外販売に力を入れる企業はその傾向が強く、グループ会社の旭化成アドバンスが手掛ける地球環境に配慮した素材ブランド『エコセンサー(ECOSENSOR)』も合わせて注力する」とし、今後はサステナビリティとサプライチェーンのさらなる強化に重点を置く考えだ。
「キュプラ繊維『ベンベルグ(BEMBERG)』は、『LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)』評価の導入や『GRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)』、生分解性繊維であることを証明する『イノブハブ―SSI』といった環境に関わる数々の認証をすでに取得している。またプレミアムストレッチ繊維『ロイカ(ROICA)』についても、スパンデックスとして世界で初めてGRS認証を受けた『ロイカEF』を、ドイツ工場に加えて20年度中に日本とタイでも量産を開始する。国内外の生地生産・加工基盤の競争力強化のため、サステナビリティをキーワードとして広くサプライチェーンの開発・生産体制を推進する」と方向性を示した。
なお、旭化成の事業のうちマテリアル領域に属するパフォーマンスプロダクツ事業には繊維関連事業のほか、自動車関連素材のタイヤ事業やエンジニアリングプラスチック事業、サランラップやジップロックなどの消費財事業などが含まれるが、売り上げの内訳は公表していない。