眼鏡専門店チェーンのメガネスーパーを中核企業とするビジョナリーホールディングスは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のため外出が困難な人を対象に、実店舗と同様のサービスが受けられる車両型移動式店舗を導入して稼働を開始した。5月12日に神奈川県で、同13日に東京都で、予約を受けた施設や個人宅を巡回し、出張費無料で眼鏡や補聴器に関するサービスを行った。
自身の運転で各エリアを回った星﨑尚彦社長は、「ご依頼いただいたお客さまの満足度を見て、眼鏡は生活必需品だとあらためて実感した。目の健康の悩みを抱えている方は多く、このサービスに地域密着、お客さまに寄り添う接客、新規顧客拡大など新しい使命や可能性が感じられた。車両型移動式店舗を活用した出張サービスのニーズは、今後ますます高まると思う」と話した。同社は店舗に足を運べない人や近隣に眼鏡店がない人向けに、2016年から社員が約50台のバンに乗って順次巡回する“メガネと補聴器の出張訪問サービス”を行っているが、月間300~400件の依頼を受けるほどニーズが高いという。
今回導入したのは全長約8メートル、幅約2メートルの大型車で、視力測定ルーム2室、リラクゼーションルーム、レンズ加工機のほか、車椅子の昇降用電動リフトも装備している。「実店舗の出店や移転、改装の費用と比べると、車両型移動式店舗の方がコストは安く、買い上げ率は100%に近い。実店舗の出店とのバランスを考慮しながら、台数を増やしていきたい」と意欲を示した。
同社は先ごろ、創業地の神奈川県小田原市にあった本社屋を小田原箱根商工会議所に売却した。「よい意味で過去との決別だ。今は変革の時。海外のビジネスに強いエムスリーと資本提携したことでグローバルな事業展開が視野に入り、オンラインでの遠隔操作による視力検査や診療など業界に風穴をあけるような新しい可能性にも挑戦したい。今後は、人材と設備に投資する。その戦略の一本目の矢が車両型移動式店舗の導入だ。攻めの姿勢で二の矢、三の矢を放ちたい」と、戦国武将好きの星﨑社長らしい表現で語った。
なお、車両型移動式店舗は15日に千葉県を巡回する。